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コロナ後の世界2”君たち”に明日はない

コロナ後、「ブラックスワン」が現れる?  9月5日、中国・北京の天安門広場にブラックスワンが現れた。  ことし1月、共産党政治局集団学習会議で、習近平主席が「ブラックスワン」に触れ、今後起こり得る危機に備えるよう警告していたから、たった1羽のブラックスワンが中国で大きな話題となった。ブラックスワン(黒鳥)はオーストラリア・パースに生息する=タイトル写真=。17世紀末までヨーロッパ人は、スワンは白鳥と信じて疑わなかった。ところが、オーストラリアへ渡った英国人らがたった1羽のブラックスワンを見たことによって、西洋の常識が根底から覆されてしまった。  現在では予見が困難で、実際に起きる確率は非常に低いが、発生すると甚大な影響を巻き起こす現象を「ブラックスワン」と呼ぶ。特に、経済現象で「ブラックスワン」と言えば、管理不能なリスク(交通事故など管理可能な確率的リスクは保険に組み込まれる)であり、マーケット(市場)に衝撃的な大混乱をもたらす不確実なリスクを指す。世界経済成長のけん引役である中国の習近平が、「ブラックスワン」の可能性に触れ、中国の発展に害を及ぼさないよう有利な環境を整え、大きな変化に備えることを警告した。  コロナ下の中、世界中で史上例を見ない大規模な金融緩和が際限なく続いている。財政赤字というのは、収入(税収)に対して、支出(公共サービス)が大きすぎることだ。現在の政策(無料のコロナワクチン提供をはじめとする医療などの社会保障、最低1日4万円の飲食店への休業補償などさまざまなコロナ経済対策)を見れば、際限のない借金に頼り、公共サービスの大盤振る舞いしていることがわかる。  2012年12月から始まった「アベノミクス」で、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資の喚起を3本の矢とする経済政策に舵を切り替えた。大規模な金融緩和策で「強い日本経済を再生させる」幻想を持たせ、民主党政権の暗い時代を一変させることに成功した。10年ほど前から、日銀は大量のマネーを市場(マーケット)に供給し続けてきた。  2020年に始まったコロナ対策によって、日銀の過剰なマネー供給に歯止めがなくなった。さまざまな業種で危機的な状況が続くから、政府の補助金と助成金供給もとめどなく続く。赤字国債発行によるもので、MMT(現代貨幣理論)に基づく”錬金術”に見えるが、いまのところ、日本でインフレは起きていない。巨額の財政赤字を先送りすることで、何か破綻するきっかけが起きたとき、その副作用は大きな痛みをともなう可能性が高い。コロナ禍の中、財政規律重視の財務省も目をつむるしかない。  習近平に言われなくても、現在のコロナ禍の世界情勢はあまりに異常である。未曽有の経済的な大混乱が、コロナ後の世界に起きる確率は非常に高い。最終的な破綻リスクを引き受けるのは政府だが、各企業への影響は計り知れない。いまのところ、誰にも見えない「ブラックスワン」が、いずれ、姿を現すだろう。  コロナによる死亡者は、累計(9月18日現在)で約1万7千人を数える。バブル崩壊後、1998年からアベノミクスが始まる2012年まで14年連続で、毎年3万人以上の自殺者があった。当時の自殺者数を見れば、コロナ関連の死亡者数があまりにも少ないように感じてしまう。  ”コロナバブル”崩壊後に必ず起きるのは、アベノミクス以前と同じような大規模なリストラである。企業で働くサラリーマンが対象となる。それだけは確実である。 バブル崩壊後、リストラの嵐が訪れた  バブル崩壊後の企業社会を描いた垣根涼介著「君たちに明日はない」(新潮社)シリーズ5作(第1作目が2004年、第2作目が2006年、第3作目が2008年、第4作目が2011年、第5作が2014年前後)を読み返しながら、当時、どのようなリストラが行われていたかをもう一度、味わった。わたしが地元の新聞社を辞めたのが、2008年だから、小説で描かれたリストラの時代と重なる。  「君たちに明日はない」は、企業からリストラを請け負い、対象者に辞職を促す専門会社の面接担当官、村上真介(第1作当時、33歳)が主人公。クビを切られるのは、東証1部あるいは東証2部など上場企業で働く主に30代から40代のサラリーマンたちである。それぞれの巻は4、5作の短編に分かれ、さまざまな企業でクビを切られる4、5人が、その短編の一方の主人公になっている。  第5作の「オン・ザ・ビーチ」(2014年2月号「小説新潮」掲載、以下同じ)では、2020東京オリンピックを7年後に控え、日本の構造的不況に執行猶予がついたとして、クビ切りの使命を終えたリストラ請負専門会社社長は会社を畳むことを決めた。2013年の最終回の時点で、村上はリストラ請負専門会社に10年間勤め、38歳の新たな人生へ踏み出すことになる。さて、2020東京オリンピックも終わり、執行猶予期間も終わり、もう一度、リストラ請負専門会社が必要となる時代がやってくる。  第1作収録の「旧友」(2004年12月号)は、リストラ面接官、村上が卒業した北海道にある高校の同級生が一方の主人公。一橋大卒後、東証1部の大手都銀に勤める。配偶者のいる33歳で年収約850万円、マンションのローンを抱える。旧財閥系の2銀行が合併後、30代の行員120人のうち、60人のクビ切りがリストラ専門会社に託される。小説ながら、対象企業の状況をほぼ正確にリサーチ、それぞれの企業事情を紹介している。  第2作収録の「二億円の女」(2006年5月号)では、新宿に本店を置く東証1部のデパートで働く、マンモス私大出身の51歳の本店外商部係長がターゲット。年収約850万円で妻、大学、高校の息子2人がいる。このままデパートにいても、3年後に年収約750万円、5年後に600万円以下だと村上から宣告される。  第2作収録の「女難の相」(2006年7月号)は、東北大文学部卒で、大手の生命保険会社勤務の36歳のシステム・ネットワーク部門係長が主人公。年収約1050万円で、独身。貯金と退職金(約1600万円)で約3000万円を確保でき、自由を求めて、勧奨退職を選んだ。3000万円を利率年7%のニュージーランド国債あるいはオーストラリア国債に運用、年210万円の収益を得て、当分の間、中央アジアや南米を旅行する胸算用を行う。(※金利の上では良い時代だった!)  第3作収録の「やどかりの人生」(2009年11月号)は、東証1部の大手旅行代理店支店で働く、九州大文学部出身の33歳が主人公。上司である42歳の団体法人営業課長の年収が約530万円、33歳だと300万円ちょい。ただでさえ給料が安いのに、朝8時半出社、夜9時まで実質労働時間は12時間前後という厳しい労働環境が旅行代理店らしい。(※インバウンドが消え、コロナ禍の中で、旅行代理店は休業状態。コロナ後、いくつかの会社は消えてなくなるかもしれない)  第4作収録の「勝ち逃げの女王」(2011年4月号)は、日本を代表する航空会社の40代ベテランCA(キャビンアテンダント)の女性が主人公。今回、村上はリストラではなく、会社への引き留めを請け負う。指導者として残ってもらいたいCAの年収は、約400万円。リストラを請負う村上は、35歳で年収約750万円、CAの給料がいかに安いのか嘆いている。”スチュワーデス”と呼ばれていた時代とは隔世の感がある。(※LCCの登場だけでなく、コロナ禍に見舞われた航空業界はさらに厳しい状況下にある) おカネも大事だが、生き方はもっと大事だ   リストラ面接官、村上は「特別退職金の支払い規定は、社内規定分にプラス、勤続年数×基本給の1カ月分、通常退職金の約2倍で約1600万円です。今まで溜まっていた有給休暇の買い取り、再就職活動の援助金100万円などが加算されます」(第2作「女難の相」の36歳係長のケース)など、被面接者に有利な退職条件を提示する。小説だからか、退職条件は大体、どこでも同じで、通常退職金の約2倍を支払うことになっていた。  わたしがちょうど30年間勤めて、地元の新聞社を辞めたとき、早期退職制度もないから、通常の退職金2200万円(※いま考えると本当に安かった!)を受け取った。実際に提示された金額が正しいのかどうかも計算しなかった。30年間に有給を取ることもなく、休日出勤分の未消化の休みが1年以上もたまっていた。未消化休日の2カ月分だけ、有給で休む条件を提示、会社は承諾した。まあ、いろいろな意味でおカネに困っていなかったのか、「君たちに明日はない」に比べて、ささやかな条件で退職する道を選んでしまった。  わたしの場合、勧奨退職ではなく、自主退職。わたしの辞職の申し入れに入社同期の人事部長(※現在、某放送局の社長)は大喜びだった。彼は翌年から社内に早期退職制度を創設、社内規定の1・5倍の退職金を示して、40、50代の早期退職を呼び掛けた。(※わたしが、そのくらいの条件を出しても、受け入れたわけだ)  小説「君たちに明日はない」の各エピソードで、作者垣根涼介は、おカネは生きていく上で大事だが、それ以上に、今という時間を納得して過ごしていくことの大切さを奨める。時間は有限だから、いまの会社から「不要だ」と言われた場所ではなく、自分の望む人生の場所で時間を有効に使うべきだ、と説いている。その通りなのだろう。多分、辞めることを考えたとき、この小説を読んでいたからだ。おカネは重要だが、おカネを死んでから使うことはできない。会社を辞めて10年以上たつが、辞めてよかった。  しかし、当時は若い人たちには生活しにくい環境だった。わたしは、辞めた後、2009年4月、雑誌静岡人vol2「久能山東照宮」特別号(静岡旅行記者協会発行)を発刊した。その中で、「家康を旅する」特集で京都・伏見を旅して、坂本龍馬ら幕末ヒーローを取り上げた。  幕末の閉塞感と当時の閉塞感が似ていると考えたからだ。  当時は、就職できない若者の怒りがいろんなところに渦巻いていた。『定職はなく、低賃金で働かされ、既に10年以上がたつが、社会は逆に、若者たちにやる気がないからだと罵倒し続けている。派遣、フリーターという低賃金の格差社会が改善される見込みはない。このままでは「勝ち組」が「負け組」を支配する社会が続いていくしかない』と雑誌に書いた。フリーター赤木智弘氏の論文「『丸山真男』をひっぱたきたい―31歳、フリーター。希望は戦争」が、多くの若者の共感を得ていた。そんな時代だった。  それだけ、自殺者が多く、毎年3万人を超えていた。  アベノミクスが功を奏してか、当時より自殺者は1万人以上、減っている。コロナ禍が社会を襲ってはいるが、社会生活はいまのところ、政府の借金政策で何とか回っているように見える。ただ、”コロナバブル”はいずれ、終焉、リストラが始まることは誰もが承知している。そのターゲットが、30代なのか、40代なのか、50代なのかは分からない。  ”コロナバブル”終焉後に、「君たちに明日はない」最新章が始まるかもしれない。  だから、”君たち”は次に何をやりたいのか、いま給料をもらって会社にいる間に考えておいたほうがいい。  会社を辞めたからといって、それぞれの人生の主役である”君たち”に明日がないわけではない。リストラ面接官を辞めた村上は、音楽業界のリクルーティングをやることを考えていた。最終回から8年を経て、46歳になった村上真介は、リストラ請負会社を起業するときと考えているかもしれない。ただ、昔ほどの好条件を出す会社は少ないだろう。

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「本人訴訟」入門⑧異様な「準備書面」!

今度は「補助参加の申出」だ?  第1回口頭弁論(7月21日)で、裁判官から8月末までに被告に求められていた管理組合総会決議の有効性などについて、被告訴訟代理人弁護士Tの「準備書面」が9月1日にようやく送られてきた。A4判用紙、20枚にわたる、あまりにも長い文書であり、本当に驚かされた。最初の「本件訴えは早急に却下されるべきである」に続く本文は、だらだらと読点ばかりが続き、2ページ目になって、「原告の本件訴訟提起は訴訟要件を欠くので、速やかに却下されるべきであると改めて主張する」でようやく句点となった。こんな文章を読むのはひと苦労であり、その内容を理解するとなると、”疲労困憊”は間違いないだろう。  冒頭の被告Kの氏名の下に、「補助参加人」一般財団法人廣田育英会とあり、これまで被告訴訟代理人とあったT弁護士には「補助参加人訴訟代理人」の肩書が加わっていた。何だ、これ?「補助参加人」を調べてみると、民事訴訟法42条(訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる)で規定されていた。またまた新たな民事訴訟法条文の登場である。  他人間に係属中の訴訟の結果について、利害関係を有する第三者が当事者の一方を勝訴させることにより自己の利益を守るために、訴訟に参加する形態を補助参加というらしい。例えば、ある会社の取締役会の意思決定が違法であるとして、株主代表訴訟が起こされた際、その株式会社は訴訟に補助参加ができるのだという。要は、取締役会と会社といった相互に密接な関係があれば、補助参加できるわけだ。  翌日(2日)静岡地裁に行くと、廣田育英会S理事長名で提出された「補助参加の申出書」(タイトル写真)を書記官から渡された。こちらもA4判用紙、14枚に及ぶ長い文書だった。  と言うのも、「補足的事情」として、わたしが廣田育英会の事務局Hに対して執拗な嫌がらせを続け、横暴な状況がわかる会話を隠し録音した記録の文字起こしがつけてあり、別紙11枚に及ぶ原告(わたし)の”非道ぶり”が綿々とつづられている。(※実際は、執拗な嫌がらせや横暴な状況は全くないが、Hはそう主張している。この「補足的事情」は、今回の訴訟とは全く無関係である。裁判官は真実がどこにあるのかわからない、こんなどうでもいい文書まで読んでいるのか?)  「補助参加の申出書」には、廣田育英会が補助参加したい経緯がつらつらと記され、最後のところで「判決が、将来、申出人に対し影響を及ぼすおそれがある」と理由らしきものがあり、「申出人は、訴訟の結果につき利害関係を有する」と書いてあった。「利害関係を有する第三者が当事者の一方を勝訴させることにより自己の利益を守る」となっていた筈だが、この説明では廣田育英会の「利益」が何かが、全くわからない。  廣田育英会は被告Kに、当該のマンション3階を「滞納金は法的に存在しないから」と申し伝え、1300万円で売却、利益を得ている。もし、管理組合に負けた場合、廣田育英会がKになりかわって滞納金68万円の全額あるいは一部を支払うのであれば、利害関係人と認めることができる。しかし、そのようなことはひと言も書かれていない。具体性は一切、ないのに、廣田育英会を補助参加人と認めるわけにはいかない。  申出書を読む限りでは、この補助参加は、わたしへの誹謗中傷を行うためのものであり、敗訴の場合、Kへの債務支払いを廣田育英会が担保するものではない。  さて、一体、どうすべきか? 補助参加への異議申立書を提出へ  民事訴訟法44条(当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判する。この場合においては、補助参加人は、参加理由を疎明しなければならない)を使えばいいようだ。早急に「異議申立書」を静岡地裁に提出しなければならない。  と言うのも、民事訴訟法44条2項(前項の異議は、当事者がこれを述べないで弁論をし、又は弁論準備手続において申述した後は、述べることができない)とあるから、9日の弁論準備手続期日が「異議申立書」提出の期限となる。さあ、6日までに異議申立書を作成して、提出しよう。(※こちらの異議申立書の件については、後日、報告する)  異議申立書提出と言えば、今回の件で2度目となる。前回の『「本人訴訟」入門⑦「調書」に異議申立』では、T弁護士から提出された異議申立書について、こちらの「準備書面」で”粉砕”できたのかどうかを書いた。その折、第1回口頭弁論調書をじっくりと読んでいて、原告の陳述に関わる「誤記」を発見した。すぐに裁判所に連絡を入れたところ、明らかな「誤記」についても裁判所が訂正を判断するのでははなく、原告が異議申立書を提出しなければならない、と教えてくれた。「調書」への異議申立は、民事訴訟法160条2項(調書の記載について当事者その他の関係人が異議を述べたときは、調書にその旨を記載しなければならない)にある。裁判所が間違えたのだから、裁判所の責任で訂正すればいいようなものであるが、しち面倒な手続きが必要である。  それで、8月26日、原告の「調書の異議申立書」を提出した。『令和3年7月21日第1回口頭弁論期日において原告がした「同年4月1日以降3階居住者」との主張は、「同年4月1日以降3階所有者に」の誤記であり、訂正するよう申し立てる』。当時の「3階居住者」は、キャバクラ店長らであり、管理組合は「3階所有者」の廣田育英会に非居住者の住民活動協力金を求めた。  「所有者」を「居住者」としたのは書記官の勘違いであり、単なる誤記だろう。もし、被告代理人のT弁護士が、調書の「誤記」に気づいて、何らかの主張をしてきた場合、思わぬ問題を出来(しゅったい)するのではないか、と心配した。どうでもいい細かな原告の訴状や準備書面の”誤記”を鬼の首を取ったように指摘するのが、T弁護士である。「居住者」と「所有者」の違いは明らかである。とりあえず、先手を打つつもりで、「異議申立書」を提出した。  9月1日に受け取った「準備書面」では、T弁護士は「誤記」に気づいていなかったようだ。ひと安心だ。  9月2日に書記官に聞くと、裁判所は「誤記」の訂正をすることなく、民事訴訟法160条2項に基づいて、T弁護士の異議申立書同様に、調書に原告の異議申立があったことのみを記したという。  どうも一般社会の常識とは違うようだ。今後も、T弁護士が調書の「誤記」を問題にすることをあまり心配していないようだ。不思議な世界である。 内容のない被告代理人弁護士の回答  被告代理人T弁護士の「準備書面」の最初の10ページは、わたしの理事長としての当事者適格を問題にして、バカだチョンだといった誹謗中傷のオンパレードである。  こちらにとって一番重要なことは、裁判官が被告に対して、「令和3年8月31日までに、上記総会決議(2019年3月の管理組合総会で3階所有者に対して非居住者の住民協力金を支払いの管理規約改訂の決議)の有効性、同総会決議が有効である場合の支払い義務の有無について準備書面を提出する」よう求められていたことだ。被告訴訟代理人による回答は(1)から(5)で、以下の通りである。(※この「準備書面」の文章は非常にわかりにくいため、こちらで簡潔に要約してある) (1)被告は、2019年3月時点で管理組合員ではないから、総会決議の効力は本来及ばない。原告が被告に請求する法的根拠が訴状の「請求の原因」には欠落している。(※訴状の「請求の原因」には、『区分所有法第8条は、マンション管理費等の滞納があった場合、管理組合は新しい区分所有者に債権を行使できるとしている。従って、新区分所有者の被告は旧区分所有者の滞納金を支払わなければならない』と書いてあるから、請求の法的根拠は示している) (2)総会決議をしたことは否認乃至争う。(※これは回答ではない) (3)そもそも非居住者協力金なる債務自体が存在しない、合計68万円の債務も存在しない。(※これも回答ではない) (4)原告が管理規約に基づき、被告に未払の非居住者協力金の支払いを求めるとの点は争う。(※これは、(2)と同じことを繰り返しただけで回答ではない)。そもそも原告に非居住者なるものの支払いを求める権利は全くない。(※これも、(1)の繰り返しであり、管理組合に請求権があるから、原告は訴訟を起こしている。なぜ、請求権がないのかを回答していない) (5)平成22年1月26日最高裁判例と本件訴訟で原告が主張するものは似て非なる内容のものであることは間違いない。(※これも回答ではない)   要は、廣田育英会が「滞納金は法的に存在しない」と言って、被告Kに3階を購入させた法的根拠を示すことができなかったのだ。 大笑いの「準備書面」とは?  「第3 被告の主張」とあり、「5 仮定的主張」には、驚いた。『百歩、否、万歩譲って、万が一総会が有効に成立し且つ当該総会で本件のような「非居住者協力金」なるものに関する規約の変更につき決議が有効になされたものと仮定した場合を想定した』としている。(1)から(3)を回答している。(※この文章を書いたのはHのようだ) (1)区分所有法第31条1項後段「規約の変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべき時はその承諾を得なければならない」ので、規約の改訂は無効である。(※まさに、この点を注意して規約改定を行った。総会でも31条を説明した上で、「すべての規約改正等について区分所有者の承諾を求める必要性はない、規約改正、使用規則の必要性が高く、内容が合理的でそれによって影響を受ける当該区分所有者の承諾なく行われた規約改正等も有効」(法務省民事局)として決議を行った。「3階区分所有の責任者である」Hも出席していて、その旨を聞いており、当時は何らの反論もしなかった。これは理由にならないはずだ) (2)総会招集通知に「非居住者協力金」が議題になっていないので無効である。(※通知には、不特定多数の出入りする3階キャバクラ寮を議題とするとあり、Hがキャバクラ寮の契約解除に応じない姿勢であることを確認した上で、7階組合員が管理費等の値上げを提案した。当然、3階キャバクラ寮の契約解除に向けた手段であるから、有効な議題である) (3)「非居住者協力金」の内容について原告の主張がなく、不当である。(※「滞納金が法的に存在しない」との廣田育英会の主張は、総会決議の有効性を論じることであり、「非居住者協力金」を原告が説明することではない)  以上、今回の準備書面には目新しいことはなく、単にわたしへの誹謗中傷をすることで、わたしが”悪い奴”であるかの裁判官の心証をつくろうとしているようだ。社会常識では、そんなことをすれば、逆効果になるのが、なぜ、分からないのか、不思議でならない。  今回の「準備書面」で笑ってしまったのは、わたしを理事長として認めていないなど書いた上で、『T(当然、実名)氏は弁護士であり且つ会社法に精通している弁護士である。法人の運営を知悉している同人が、総会の決議を経ずして理事長となるなどということを容認するようなことがあろう筈がないのである。論外である』。自分で自分の名前に氏の敬称をつけ、さらに会社法の専門家などと威張っている。おれ様は弁護士様でエライんだから、素人の主張は間違っている、と言っているようなものだ。  1995年3月の総会でわたしが理事長に選ばれた決議の議事録は残っていないからと言って、当時の3階居住者もわたしを理事長に選任する決議に賛成している。3階を管理しているのはT弁護士だから、当然、報告を受けたはずだし、もし、報告を受けていないとしても、疑問があるならば、すぐにわたしに問い合わせるべきだろう。1995年から2020年まで、いつでも異議を唱えることはできたが、一度もなかった。  さあ、明日(6日)、廣田育英会の補助参加への異議申立書を提出しよう。

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「本人訴訟」入門⑦「調書」に異議申立?

わたしの発言を切り取ったT弁護士の曲解  8月6日、「わたしが管理組合理事長ではない」とする被告代理人T弁護士の答弁書に対する再反論、第1回口頭弁論(7月21日)で裁判官から求められた「理事長に就任した当時の議事録」を管理会社アイワマネジメント(静岡市)に問い合わせた結果を記載した「準備書面」を静岡地裁に提出した。その際、書記官に口頭弁論の議事録はあるのか尋ねた。  「被告代理人の答弁書は被告(K)の本来の主張と違うでのはないか」とわたしが質問したのに対してに、T弁護士が「うるさい、黙れ」と法廷で怒鳴った発言を正確に知りたかったのだ。(わたしはメモ書きをしていたが、ICレコーダー使用は禁止されている)  書記官は「調書」ができていると教えてくれた。調書とは、民事訴訟法160条(裁判所書記官は、口頭弁論について、期日ごと調書を作成しなければならない)に基づいた裁判の記録である。調書は非常に簡潔に要点のみが記され、T弁護士が怒鳴ったことなどは一切、記されていなかった。  原告に対して、「令和3年8月31日までに、原告代表者が理事長に初めて選任された際の議事録を確認の上提出する」、被告に対して、「令和3年8月31日までに、上記総会決議(2019年3月の管理組合総会で3階所有者に対して非居住者の住民協力金を支払いの管理規約改訂の決議)の有効性、同総会決議が有効である場合の支払い義務の有無について準備書面を提出する」と調書に記されていた。  調書によると、被告の「わたしが理事長ではないから、訴えを却下すべき」主張は認められず、Kが滞納金不払いの理由とした「滞納金は法的に存在しない」根拠をT弁護士は主張しなければならない。  ところが、T弁護士は8月6日付(裁判所到着は7日)で、『口頭弁論期日調書の記載に対する異議申立書』(タイトル写真)を送ってきたのだ。裁判所の「調書」への異議申立は、民事訴訟法160条2項(調書の記載について当事者その他の関係人が異議を述べたときは、調書にその旨を記載しなければならない)に基づいている。  異議申立書は『原告は、従前、規約に基づき、訴状に対する代表者理事長と記載された「✖✖✖✖(わたしの氏名)」を選任する決議をしたことはなく、議事録もない』という原告の陳述が記載されていないので、これを調書に補充するよう求めている。  マンション管理組合は法人ではないが、民事訴訟法29条(法人でない社団又は、財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる)で、裁判を起こすことができるとしている。ただ、その訴えに必要な「代表者又は管理人」である当事者適格がないことを、わたし自身が裁判で認めているので、その旨を「調書」に記載すべきだとT弁護士は主張している。わたしが、第1回口頭弁論で自ら当事者適格がないと発言している経過や、異議申立の理由を民事訴訟法や最高裁判例などを駆使して、長々と書いている。もし、それが事実ならば、訴えを却下する要件となるのかもしれない。  異議申立書によると、裁判官はわたしに対して、「規約に基づき理事長に選任されたという決議がなされているか、議事録があるか」との質問に、わたしが「理事長に選任する決議をしたことはなく、議事録もない」と陳述した、となっている。ただ、これはわたしの発言の一部を切り取って、都合よく使っているだけである。全く正確ではなく、こちらからすれば”虚偽”に当たる。  「当初(1995年3月)から私を理事長に選任する決議をしたことはなく、議事録もない」を、わたしが認めているはずもない。当然、そんな発言はしていない。1995年3月、わたしが理事長に選任された決議について、わたしの手元には当時の議事録はない、と述べたに過ぎない。その後、毎年の理事長を選任する決議は省略され、その後、ずっとわたしは理事長に就いている、とも述べた。  わたしの発言の一部を切り取れば、T弁護士の書いた通りになる。異議申立書だけを見れば、当初から、わたしを理事長に選任した決議がないから、わたしの理事長としての当事者適格がないとなる。T弁護士の曲解なのか、”虚偽”なのか分からないが、法律、判例を都合よく使うために、わたしの発言の一部を切り取ってしまった。ただ、これでは、わたしは自分勝手に理事長に就いたのか、あるいは、誰かがわたしを無理やりに理事長に就かせたかのいずれかになってしまう。(いくら何でも、そんなことはありえない。被告はこれを証明しなくてもいいのか?)  当事者適格は、裁判所が職権によって調査することになっている。裁判官は、T弁護士が「答弁書」で主張した「わたしは理事長ではない」を採用せず、わたしの当事者適格を認めている。これに、T弁護士は不満だった。それで、わたしの発言を都合よく切り取ることで、調書の異議申立書を作成したのである。  T弁護士の異議申立には、どのような狙いがあるのか? 準備書面で”再反論”を提出済みだった  わたしは、T弁護士による異議申立書の日付と奇しくも同じ8月6日に、『被告の答弁書中、「✖✖✖✖(わたしの氏名)は、アクシス91管理組合理事長ではない」に対する再反論』という標題の準備書面を提出した。わたしの準備書面が、T弁護士による異議申立書の曲解をこなごなに粉砕する威力が十分、あったのかどうか検証してみる。わたしの準備書面は、8月10日にはT弁護士の手元に届いている筈である。  T弁護士が「わたしは理事長ではない」と主張してきたことは、ある意味、都合のいいことだった。莫大な財産を残した3階所有者の廣田さんの遺言執行者であり、現在、廣田育英会常務理事となったT弁護士が、息子の理事Hを事務局責任者にすえて思うがままに運営をしていることにわたしは疑問を抱いている。廣田育英会のS理事長に、今回の3階キャバクラ寮の契約解除について電話で問い合わせたところ、Sは「すべてHに任せている」と発言している。廣田育英会の”真実”が少しでも社会に出れば、廣田育英会の運営に疑問を抱く人が増えてくるだろう。  わたしが理事長に選任された1995年3月当時、3階は、故廣田さんの遺言執行者T弁護士が管理、廣田さんの介護人だったIが居住していた。わたしを理事長とする選任決議がなされたあと、Iを含めた組合員から、わたしの都合のつく限り、なるべく長く理事長を続けてほしいとの強い要望が出された。このため、毎年の総会で理事長の選任手続きを省くことになった。今後、わたしの代わりに理事長職を引き受ける者がいれば、遠慮なく言ってほしい旨も話したが、そんな奇特な人は、当分、誰もいないことも承知していた。  7世帯のみの管理費等で管理会社に委託すれば、収支がマイナスとなる可能性が高く、自主管理に変更したため、理事長職は、毎月の会計管理、マンション全体の維持、修繕、公共機関との交渉など煩雑な日常的な仕事を引き受ける役割であり、他の組合員が面倒な理事長職を引き受けられる状況ではなかった。総会に出席したIは、T弁護士の委任を受けていたから、1995年3月の総会でわたしが理事長に選任されたことは、T弁護士は当然、承知していなければならない。  翌年1996年12月27日に行われた管理組合臨時総会でT弁護士からIを代理人とする委任状がわたしに提出された。わたしは1996年3月の総会で選任手続きを経ていないが、被告代理人のT弁護士はわたしを理事長として認めていたことになる。(証拠として、1996年12月に提出されたT弁護士の委任状写しを添付した)  2003年、突然、居住者のIが3階を退去させられた前後から、3階管理費等の滞納が続いたため、わたしはT弁護士の東京・新橋にある弁護士事務所に電話で滞納金の支払いを督促、理事長の立場でT弁護士と話をしている。(証拠として、T弁護士への督促を書いた2003年管理組合総会の報告書写しを添付した)  その後、T弁護士に依頼された不動産会社が3階の入居者を募集、2005年4月、T弁護士名の「第三者使用に関する届け出事項」がわたしに届けられた。(証拠として、この届け出事項の写しを添付した)  ここまでは、T弁護士が亡くなった廣田さんの遺言執行者の時代であり、わたしを理事長に認識していた事実を証拠とともに述べた。廣田育英会常務理事となってから、T弁護士が、管理組合理事長のわたし宛に送ってきた郵便物をすべて保管している。 T弁護士はわたしを理事長として認めていた  「3階キャバクラ寮の契約解除」を管理組合が廣田育英会に何度も求めたことに対して、T弁護士は2018年12月、2019年2月にそれぞれ、速達、書留で2通の郵便物を送ってきた。まず、封筒、文書の宛先には、わたしの氏名の前に、「アクシス91管理組合理事長」の肩書をつけてある。つまり、T弁護士はわたしが理事長であることを前提に、さまざまな批判、中傷を行ってきている。  2018年12月の文書は、わたしが理事長Sの自宅に「3階キャバクラ寮の契約解除」を求めたことについて、不適切な行為だと批判している。さらに、2006年8月に「(亡くなった廣田さんから廣田育英会への)所有者変更届」をわたし宛に送ったとし、その変更届が手元にないのは「理事長として重要書類の管理能力に疑問がある」などと書いてきた。  わたしには、「所有者変更届」を受け取った記憶はないが、2006年8月から2018年12月まで、T弁護士がわたしを管理組合理事長として認識していたことは疑いのない事実となってしまう。  2019年2月の文書では、3階キャバクラ寮の入居者がマンション内の駐車場に3カ月余、無断で不法駐車していた問題を取り上げ、わたしが許可したという3階キャバクラ寮の入居者の一方的な主張のみを利用して、「居住者が嘘をつく理由は見当たらない」「当財団が嘘を都合よく使ったなどという事実などあり得ない」などと述べ、わたしの一連の対応について、「当財団としてはマンション管理者及び理事長としての貴殿の資質を問う方針」と記している。つまり、T弁護士はわたしを理事長として認めていた。(証拠として、T弁護士からの2通の文書写しを添付した)  1996年から2020年まで管理組合総会では、理事長の選任手続きを行っていないが、T弁護士の委任を受けた3階出席者から、理事長選任手続きに何らかの疑問等は一切、出されていない。T弁護士の息子で、事務局責任者とされるHは、管理組合総会に出席しているが、理事長の選任手続きに一度も疑義を述べたことはない。  これらの事実を基に、今回の訴訟で、T弁護士がわたしを理事長ではないと主張するのは、あまりのご都合主義であり、弁護士法第1条「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」に反している、と「準備書面」の結論に記した。  「準備書面」を作成したときには、「毎年の総会で理事長の選任手続きを省いた」ことが問題であり、理事長としての当事者適格に欠けるとT弁護士が主張している、と考えていた。ところが、異議申立書を読むと、T弁護士は、第1回口頭弁論のわたしの発言の一部を切り取り、そもそも初めからわたしが総会決議なしで理事長に就いていた、と曲解している。 T弁護士の狙いは東京高裁への控訴か?  わたしの「準備書面」によって、T弁護士の異議申立書の曲解をこなごなに粉砕することができたのかどうか?   まず、1995年当時の議事録は存在していない。  当時、アイワマネジメントが管理会社だったが、ずさんな管理であり、わたしが選任された議事録等を作成していない。だから、1995年3月、わたしの理事長選任決議がなされたこともちゃんと「準備書面」に記載するべきだった。また、遺言執行者のT弁護士が区分所有者として居住者Iに委任していたから、わたしが理事長に選任されたことを承知していたはずだ、と主張すべきだった。  最も重要なのは、T弁護士の「異議申立書」の狙いが、どこにあるのかである。  私見だが、T弁護士は静岡地裁で敗訴となったことに備え、東京高裁へ控訴することを考えているのではないか。わたしの陳述に問題があることを強調することで、高裁裁判官がT弁護士の異議申立書にある主張を事実だと信用してしまう恐れは十分にある。  そうならないようにするためには、今回のT弁護士の主張を踏まえて、8月6日提出した「準備書面」を補正する必要がある。経験の乏しい「本人訴訟」では、被告代理人弁護士がどのような狙いでこちらを攻撃してくるのか、全く予測がつかない。その上、民事訴訟法、判例を駆使されれば、思わぬダメージをこうむる。  ただ、今回は、T弁護士が異議申立書を送ってきたのと同じ日に、T弁護士を”攻撃”する「準備書面」を提出したことが、裁判官の心証をつくるのに強力な材料を与えたはずだ。

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「本人訴訟」入門⑥”嘘”まかり通る?

「理事長ではない」を争うとは!  第1回口頭弁論は7月21日に開かれた。  静岡地裁には審理開始の15分ほど前に到着、3階の書記官にあいさつをすると、「時間になったら、法廷に入ってください。同じ時刻に3件ほど別の事件の判決があり、そのあと、原告席に座ってください」と教えられた。  静岡簡裁の調停期日呼出状では、出頭する場所に「相手方待合室」と書いてあったので、そう書かれた部屋でずっと待っていたが、音沙汰がないので、簡裁書記官室へ行くと、担当書記官から「あなたを待っていた」などと言われた。「本人確認」のために、まずは書記官室に顔を出さなければならないのだろう。  このあと、原告の席は、裁判官に向かって、左側であり、被告席は右側だと教えてくれた。刑事事件では、右側が検察官、左側が被告人の弁護人席で、被告人は正面に座る。訴状を提出した原告が右側の席とばかり思っていたので、聞いてよかった。初めての「本人訴訟」だから、あらゆることが初めてであり、何か重大な失態を起こさないよう、できるだけ何でも聞いておくべきである。新たなことを知る度、緊張感が増してくる。  第203号法廷のある2階に降りて、法廷の場所を確認してから、エレベーター前のソファに座っていると、廣田育英会の理事、事務局Hが姿を見せ、隣には彼とよく似た背格好の年配男性が目に入った。その年配男性がHの父親であるT弁護士だろう。20年近く前、管理費等の滞納金督促で事務所に何度か電話を掛けた。声だけだが、相手の印象はよくなかった。当然、お互いにあいさつすることもなく、そのまま視界に入らなかったように無視した。  もう一度、準備書面を読み返してみた。「わたしは理事長ではない」を争うのは、民事訴訟法に基づいて手続きの不備を突く弁護士テクニックなのかもしれない。しかし、この”戦略”は被告Kと協議した結果なのかしら、と疑問を抱いた。  7月7日、裁判所に提出した準備書面に「もし、これから長くマンション管理組合という共同体に生活するのであれば、わたしが理事長ではないという、とんでもない主張が、新たな所有者となったばかりのKの管理組合内の立場や信用を失うことにつながる」と書いた。民事裁判だからと言って、どんな方法であれ、勝てばよいわけではない。これまでの3階キャバクラ寮の契約解除問題で廣田育英会による社会常識とかけ離れた対応と重なり、何か怒りにも似た思いが胸にふつふつと沸いてきた。  定刻の5分前に法廷に入ると、広い傍聴席にはT弁護士とHだけでなく、離れたところに男性3人が座っていた。当然、その3人は、別の裁判の判決を聞くために来たのだろう。時間通りに裁判官(女性)と書記官が法廷に現れ、書記官が事件番号を読み上げて、判決が下されていく。緊張と興奮のせいか、わたしの耳に入ってこなかった。  すぐに書記官に呼ばれて、わたしは原告席に座った。被告席にはT弁護士のみで、Hは傍聴席に座っている。どういうわけか、被告Kの姿は見えなかった。  これからいよいよ裁判が始まるのだ。 「住民活動協力金」決議に不備はない?  民事裁判の通例通りに訴状、答弁書、準備書面を「陳述」したこととして、「陳述」手続きは簡略化される。このあと、裁判所に提出した管理規約、2018年度管理組合臨時総会、2019年度管理組合通常総会、2020年度管理組合通常総会、2021年度管理組合通常総会の原本を見せろ、というT弁護士の求めに応じた。  この裁判後に、橘玲著『臆病者のための裁判入門』(文春新書)を読んでみると、口頭弁論では書面の陳述(実際は読んだものとして省略)のあと、提出された証拠が原本と相違ないかを裁判所が確認する、とあった。「証拠の原本を見せろ」は、T弁護士のわたしに対するいやがらせかと思っていたが、裁判では通常の手続きである。証拠を提出する度に、必ず裁判官が原本を確認するのか、書記官に聞いておいたほうがいい。  その後、裁判官がわたしに求めたのは、わたしが理事長に就任した1995年当時の議事録である。当然、前理事長から引き継ぎはなく、わたしは「当時の管理会社だった株式会社アイワ不動産(管理会社はアイワマネジメント)に問い合わせてみます」と回答した。あまりに古いことで記憶になかった。  この議事録は、T弁護士が争点にする「わたしは管理組合理事長ではない」に関連しているのは間違いない。原告としての適格性に問題がないことを当時の資料を証拠として裁判官が確認したいのだろう。  そう考えていたところ、ひとつ思い出した。  わたしが何度も、3階のキャバクラ寮の契約解除を廣田育英会に求めたことに対して、廣田育英会は合計8通の内容証明などの文書を送ってきた。そのうち、2通はT弁護士(廣田育英会常務理事)からである。当然、わたしを理事長であることを前提に、さまざまな批判や中傷をしていた。  この件を持ち出して、「廣田育英会常務理事のT弁護士から何度も理事長として認める文書をもらっている」とわたしが述べると、T弁護士は「そんなものは書いていない」と即座に否定した。証拠が目の前にあるわけではないから、わたしが何を言っても、裁判官に真実かどうかはわからない。後日、T弁護士の送ってきた文書を証拠として提出することにした。  裁判官は2019年3月の管理組合総会で「非居住者の住民活動協力金」を管理規約に入れる決議に不備があるのならば、その点を明らかにするようT弁護士に求めた。手続きに不備のない総会で決まった管理規約を遵守するのは、管理組合員の責務である、と裁判官は言ったようだ。(これは正確でないかもしれない。実際に、裁判官が正確にどのように言ったのか、自信がない。当事者のわたしはメモ書きに集中できる状態ではなかった。裁判所はICレコーダーの持ち込みを禁止している)  覚えているのは、裁判官の求めに、T弁護士は不満を表明するために立ち上がった姿だ。わたしの訴状に民事訴訟法上の不備がある「答弁書」の主張を繰り返しているようだが、発言の意図は理解できなかった。裁判官はT弁護士の主張を却下して、8月末までに管理組合総会の手続きに不備があるのかどうか準備書面で提出するよう求めた。 「うるさい黙れ」と怒鳴ったT弁護士  裁判官は次回期日が9月9日に決まったことを告げた。コロナ禍の中、T弁護士には東京・新橋の事務所からリモート参加できることを伝えていた。  わたしは裁判前から最も気になっていた「準備書面」に書いたことをT弁護士に問いただした。  「被告(K)の主張は、滞納金に法的根拠があるかどうかだった。わたしが理事長かどうかを被告は主張していない。被告の主張と違うのではないですか?」  これに対して、T弁護士は「うるさい、黙れ」と法廷内で怒鳴った。これにはびっくりとした。さらに、閉廷したあと、被告席を離れて、傍聴席を通過する際、原告席のわたしに向かって「お前は理解力がない」など捨て台詞を吐いた。一体、どうなっているのか、首を傾げた。老練な「弁護士先生」からこのようなきつい脅しを受ければ、ふつうの人であれば、いたたまれなくなってしまうだろう。T弁護士の対応は、自分の思い通りの理屈で裁判が進んでいないことが原因なのかもしれない。  ところが、裁判が終わって、三浦和義著『弁護士いらず』(太田出版)をもう一度、読み返して、ああ、しまったと思った。やはり、失敗しているのだ。  「法廷では、裁判長に答える時、あるいは質問する時、または、発言する時は必ず起立します」とあったからだ。「必ず起立する」。それなのに、わたしは裁判中、一度も起立することがなかった。すべて、偉そうに座って受け答えしてしまった。  T弁護士への質問も座ったまま、裁判官の許可を取らない不規則な発言だったため、T弁護士は「うるさい。黙れ」と怒鳴ったのかもしれない。知らないとは言え、これは法廷では失礼なことだろう。民事裁判は、原告、被告の言い分を裁判所に聞いてもらい、お互いの主張したことだけに基づいて裁判官の心証で審判する。だから、このような初歩的な点こそ注意すべきである。  細かいところを書記官に確認してみよう。裁判官から発言を求められた場合は、すぐに起立すればいい。それでは、被告代理人に対して質問を行う場合、挙手して、裁判官の了解を得た上で発言するのだろうか? 被告KとT弁護士の利害関係は?   第1回口頭弁論を終えたあと、7月24日夕方にアクシス91管理組合臨時総会を開催した。「わたしは理事長ではない」について、Kから説明を受けた上で、その主張が被告代理人のT弁護士だけでなく、Kの主張であれば、管理組合としてどのような対応するのかが主要議題だった。  自主管理組合へ加入した(つまり、当マンションを購入した)Kもマンション管理の責任を組合員として負わなければならない。そもそもKは、T弁護士らから「滞納金は法的に存在しない」と聞いて、滞納金の支払いを拒否した。もし、滞納金不払いの理由を「わたしは理事長ではない」としてしまえば、Kは”嘘”をついたことになってしまう。いくらお金を払いたくなくても、社会生活の中で、嘘をつくことは許容されない。  総会前日夜になって、Kは「欠席」通知をポストに入れてきた。「先日、訴訟代理人より裁判内容の報告を受けた。今回の招集内容にある理事長であるかどうかの疑義は裁判官により解消された」などと書いてあった。従って、「被告であり欠席する」。これはある意味、嘘つきであることを認めたことになる。  T弁護士からKがどのような説明を受けたのか分からないが、Kの書いた”疑義”がすっかりと解消されたわけではない。裁判官は、わたしが理事長に就任した当時の議事録(アイワマネジメント作成)を求めている。新たな証拠を提出して、T弁護士の疑いを払拭するよう求めているのだ。  「被告であるから欠席する」。管理組合員でないならば、それで問題ないが、組合員として「わたしが理事長ではない」について発言する義務をKは持っているのだ。再度、3階ポストに組合員としての義務を果たすよう要請する手紙を入れた。「欠席するのは、そちらの都合が悪い場合はやむを得ないが、今回の総会で議決したことは遵守してもらう」と書き添えた。「理事長ではない」を争点にするのが、Kの本意でなければ、KはT弁護士に指示して、本来の主張をするよう求めればいいのだ。泥仕合を演じるのはKの希望ではないだろう。  Kが問題の本質を理解しようとしない無責任さにあきられるばかりだ。実際に、T弁護士がKにちゃんと説明したのかどうかも分からない。KはT弁護士らから「滞納金は法的に存在しない」と聞いて、このマンションを購入している。現在、T弁護士は「わたしは理事長ではない」を問題にしてしまった。  「滞納金は法的に存在していない」と言ったT弁護士はKの訴訟代理人としては、”異例の存在”であることを理解すべきだ。  もし、管理組合の主張が認められ、Kが滞納金を支払ったあと、Kは廣田育英会に損害の返済を求めることができるからだ。利害相反する可能性のあるT弁護士が被告訴訟人であるのは、原告(管理組合)を敵に回しているときだけである。だから、Kはちゃんと裁判を傍聴して、自分の目と耳ですべてを確認すべきだった。  T弁護士は8月末までに「準備書面」を提出して、原告の主張が間違っていることを証明しなければならない。  裁判所作成の第1回口頭弁論「調書」に、「被告は2019年3月の総会決議の有効性、同総会決議が有効である場合の支払義務の有無について準備書面を提出する」と書いてあった。  「滞納金は法的に存在しない」根拠をT弁護士が主張してくるはずだ。Kはすでにその内容を承知しているのか?

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「本人訴訟」入門⑤「答弁書」が来た!

補正しなければ、訴えは却下?  7月3日、T弁護士から「答弁書」が届いた。中身を読んで驚いた。最初、何が書いてあるのかよく理解できなかったからだ。「弁護士先生」が登場するというのは、多分、こういうことなのだろうとだけ理解できた。  「答弁書」を想定して、本人訴訟に関するいくつかのマニュアル本を読んで、「答弁書」の知識を得た。特に、名誉棄損で裁判を争い、マスメディア相手に1億数千万円の損害賠償金、和解金を勝ち取り、「本人訴訟」を一躍有名にさせた三浦和義著『弁護士いらず』(太田出版)は懇切丁寧に説明していた。  最高裁のHP「裁判所」でも答弁書を、『訴状等に記載された「請求の趣旨」及び「請求の原因」の項目のひとつひとつについて、認めるか否か、反論や希望があれば、それも記載する』と説明する。マニュアル本は、この説明通りに、「答弁書」の書き方などを教えていた。  一番の肝は、「原告の請求を棄却する」「訴訟費用は原告の負担とする」など被告の主張(否認、認める、不知)をはっきりと明示することだ。その上で、否認する場合など、相手の主張のひとつひとつに反論の具体的な理由を記載していく。   ところが、T弁護士の「答弁書」はマニュアル本と全く違い、被告の主張(当然、否認である)以前の問題で、『訴状の補正を求める』から始まっていた。訴状が補正されなければ、民事訴訟法133条2項(ウエブで調べると、「訴えの提起前における照会に関する」条項とある)に違反しているという。補正しなければ、裁判長は命令で訴状を却下しなければならない規定の民事訴訟法137条2項に基づき、「却下されるべき」と脅している。ここまでくると、”素人”には全く分からない。  まず最初に書いてあった「被告Kは自然人であるから個人であることは明らか」から意味不明だった。調べると、「自然人」は法律用語で、生まれてから亡くなるまで完全な権利能力を認められる主体(個人)。民法では法人に対する個人を指すのだという。  管理組合の住所が、わたしの部屋番号のついた住所では、当事者の原告が「自然人(個人)」なのか「法人(組合)」なのか不分明だから、「訴状の不備は看過できない」とT弁護士は怒っている。7世帯しかないマンションに管理組合用の部屋も郵便ポストもないから、すべての郵便物などは理事長の住所がそのまま管理組合の住所として通用している。T弁護士は、それではダメだと言っている。  管理組合がわたしの個人住所になっていることで、原告の主体が「自然人(個人)」なのか「法人(組合)」(管理組合は人格なき社団、みなし法人)なのか不分明と言うのだ。地番だけでは部屋番号のない郵便物はどこかへ行ってしまうという現実的な問題ではなく、訴状の体裁としてT弁護士には看過できないのだ。  裁判という法律の世界に未熟な”素人”が入ってきたから、まずは、「弁護士先生」が上から目線でご高説を垂れているように見える。こんな重箱の隅をつつくのが「弁護士先生」の仕事かもしれない。  また、「答弁書」は、「アクシス91管理組合」が、わたしの訴状では「アクシス91マンション管理組合」とあり、どちらの名称が正しいのか明示すべきだと指摘している。わたしは「マンション」を入れたほうが分かりやすいと考えたが、固有名詞だから厳密でなければならないというのだ。  はいわかりました。T弁護士の言う通りに、「アクシス91管理組合」に直せばいい。「弁護士先生」の指摘を踏まえ、「訴状を補正」すべきなのだろう。  裁判をスムーズに進行させることが重要である。どのように訂正すればいいのか、親切な書記官に率直に相談することにした。 「管理組合理事長ではない」で、訴え却下?  さらに「答弁書」を読んでいくと、「本件訴えにおける原告が、わたし個人ではなく、法人でない団体であるとした」場合、「本件訴えを却下する」とあった。何だ、これ?どういう意味か全く理解できない。  しかし、その理由に、そもそも、わたしが、「アクシス91管理組合の理事長ではない」と書かれていた。つまり、原告としての当事者適格を否定しているのだ。  「本案前の答弁」とあるから、わたしの請求した内容への否認、反論ではなく、そもそも、原告としての当事者適格がないということだけで、訴えを却下させようとしている。  わたしが理事長でない理由に管理規約の規定、管理組合総会などの手続きの不備を挙げていた。どうやら、T弁護士は毎年度の総会で、理事長の選任をしていないから、わたしは理事長ではないのだという。わたしは1995年から管理組合理事長を務めている。7世帯しかないから管理会社へ委託すれば収支がマイナスになる可能性が高く、自主管理組合であり、理事長の仕事は毎月の会計管理、マンションの維持修繕、公共機関との交渉など多岐にわたる仕事を一人でやっている。当初から、なるべく長くやってほしいという要望に応えてきたから、毎年の選任を行っていない。別の誰かがやってもらえるのならば、喜んで理事長を引き受けてもらうつもりだった。  何よりも、もともと3階所有者(廣田育英会の起源となる廣田さん)の遺言執行者だったT弁護士は、わたしが長年、理事長を務めていることを承知していた。詳しくは、『「本人訴訟」入門①民事紛争の発端から』で紹介した。「本人訴訟」入門①民事紛争の発端から? | 静岡経済新聞 (shizuokakeizaishimbun.com)  2番目として、わたしが2月15日に送信した「管理組合総会告知」メールに訴訟案件が議案になっていないから、「決議自体が無効」とあった。この時点では、3階Kは滞納金を支払ってくるものとばかり思っていた。ところが、2月16日のメールで、Kは廣田育英会から「法的に存在していないから支払わない」と伝えてきた。その後、何度もKに支払うよう求めた。  3月2日のメールで、Kは「訴訟という手荒な選択をしたくなく、まずは公平な立場である裁判所に意見を伺うために調停申し立てをした」「問題解決のために時間をいただきたいので理解してほしい」などと書いてきた。当然、K(譲受者)は廣田育英会(譲渡者)を相手取って、調停を行ったものとばかり思ってしまった。  それでも3月2日のメールで、「7日の入居までに滞納金を支払われない場合、訴訟を早急に起こす」と記し、電話で総会の議題とすることもKに伝えている。当然、全組合員にも徹底している。T弁護士が被告のKにちゃんと事情を聞いていないことが明らかだ。3月14日の総会の席で、初めてKからわたしを原告とする調停申立を行ったと聞かされ、Kを被告とする訴訟を議題として取り上げた。Kに反対意見もなく、全会一致で議決した。本当に、T弁護士はKと十分に話し合っているのか、疑問が多い。  最後に、民事訴訟法15条で「法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権は、書面で証明しなければならない」と定めているのに、「添付書類」に代表権、授権を証明する必要書類がないから、わたしは「組合のための代表者乃至管理者でもなく、原告となる権限を授権されてもいない」と追及していた。  そして、「答弁書」には「原告の請求を棄却する」「訴訟費用は原告の負担とする」とあり、「主張の整理及び訴状の補正がなされた後に、被告は答弁する」と書いてあった。  こうなると、静岡地裁に求められた「資格証明書」を提出したことは非常に大きな意味があった。被告の3階を除く、管理組合員全員の自署、押印のある「資格証明書」を作成したから、「原告となる権限を授権されている」必要書類のはずだ。T弁護士はその事実を知らなかったようだ。静岡地裁から「事務連絡」をもらった際、「資格証明書」提出がT弁護士の要請と勘違いしていたが、T弁護士の答弁書で事実関係がはっきりとした。  静岡地裁判事に感謝しなければならない。 「答弁書」に反論する「準備書面」提出  「わたしが管理組合理事長でない」。本当に、そんなことを裁判で争うのか?そもそも被告Kの主張とは全く違う。  廣田育英会(T弁護士は常務理事)とは「3階キャバクラ寮の契約」解除を管理組合が求めたことでいろいろな文書のやり取りがあり、T弁護士からもさまざまなイチャモンをつけられた。しかし、これまで、「わたしが理事長ではない」と言ってきたことは一度もなかった。  被告だが、管理組合員でもあるKはこの「答弁書」を承知しているのか?  わたしは、7月7日、「理事長ではない」に反論する「準備書面」を静岡地裁に提出した。  『3月17日、被告から原告に届いた調停申立書には、廣田育英会から「住民活動協力金なる債務は存在していない」、「専門家の意見も取り入れた上で判断しているので、請求自体が無効で債務はない」などと聞かされた上で、気に入った物件であり、購入したなどとあった。  当然、被告は購入までに、原告に対して滞納金の存在について確認する時間が十分、あった。今回の訴訟は被告が注意義務を怠ったことが大きな原因である。  このような状況の中で、被告代理人(T弁護士、廣田育英会常務理事)から送付された答弁書には、被告が原告に送ってきた調停申立書とは全く別の主張をしている。  被告は「アクシス91の新区分所有者として他の区分所有者と良い関係を築いていきたい。協力金の問題解決を早急にしなくては」と書いている。「管理組合理事長かどうか」を争うのであれば、裁判ではなく、管理組合員として総会開催を提案して、この疑問をはっきりとさせるべきであり、これまでの主張と違う。  被告がこれから長くマンション管理組合という共同体の一員として生活していくことが予測される中で、管理組合内の立場や信用を失うことにつながる可能性が高い』(「準備書面」抜粋)  T弁護士が勝手に「答弁書」をつくり、Kの承諾を得ていないのではという強い疑問を抱いた。   7月7日に「準備書面」を提出したあと、「わたしが理事長ではない」を議論するためにマンション管理組合臨時総会を24日に開催することを決めた。  マンション管理組合の一員となったKが、わたしを管理組合理事長ではない、と考えているならば、当然、管理組合員全員の問題である。区分所有法はマンションの区分所有者全員が、管理組合員になると定めている。すべての所有者は管理組合員としての責務を果たさなければならない。「わたしが理事長であるのかどうか」の疑問があるならば、総会の席で発言してもらう。  「準備書面」とともに、「訴状訂正の申立書」を提出した。住所は地番のみとして、わたしの部屋番号を除き、肩書を「アクシス91管理組合 同代表者理事長」と訂正した。  第1回口頭弁論は7月21日午後1時10分、静岡地裁203号法廷で開かれることになった。 

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「本人訴訟」入門④静岡簡裁への疑問

調停は申立人に都合のよい制度?  静岡簡易裁判所から3月17日、3階の新所有者Kが管理組合を相手取って「68万円の債務(3階の旧所有者、廣田育英会の滞納金の支払い)を負っていないことの確認」を求める「調停期日呼出状」が届いた。  調停申立書では、廣田育英会が「専門家の意見も取り入れた上で請求自体が無効で債務がない」と言っているのに、管理組合からは何度も「支払え」と請求されるから、「公平な立場で裁判所の意見を聞きたい」と結んでいる。実際は、簡易裁判所の裁判官や調停委員から「廣田育英会(T弁護士)の主張をちゃんと権威づけ」してもらい、「Kには債務がないことを管理組合に納得させる」よう求めているのだ。  ところが、Kが簡裁に提出した証拠は、わたしがKに送ったメール5通だけである。「請求自体が無効(法的な根拠がない)」とする専門家の具体的な意見がわかる”証拠”はどこにもない。  Kには、2019年3月の管理組合総会の議決事項をはじめ、管理組合と廣田育英会とのこれまでの関係がわかる資料を手渡し、詳しく説明している。それでも、Kは、「廣田育英会(弁護士先生)」の言い分が正しくて、管理組合の説明が間違っていると判断した。Kは廣田育英会からの資料等は全くなしでも調停申立をすれば、68万円を支払わなくてもよいと考えたようだ。  静岡簡裁から寄越した説明文『調停について』は、「双方の言い分を十分に聞き、事情をよく調査して、もめごとの原因をはっきりとさせた上、双方の話し合いと譲り合いによって、実情に即した解決を図ろうとする手続き」と書いてある。「調停で問題を解決しようとしているので、あなたにも調停期日に出席していただきたい」。これでは、調停申立人のペースで問題を解決する制度となってしまう。  翌日(18日)、Kの調停に対する「照会書(回答書)」を作成、静岡簡易裁判所に持参した。  甲第5号証は、わたしの送ったメール(「滞納金はKと廣田育英会のどちらかが管理組合に支払うのであり、Kが支払ったあと、廣田育英会に請求するしかない」などと書いた)とともに、Kからわたしに送ってきたメールもついている。そのメールで、Kは「債務の話は聞いていたが、法的に存在しないから無効と聞いている」「債務関係は廣田育英会が対応する」「Kは支払ってはならない」という「契約」を交わしているから、「債務を支払えない」と書いている。  いくら何でも調停を求めるならば、滞納金の支払いを拒否する根拠、Kと廣田育英会との「契約」写しを管理組合に提出してほしい、と「照会書(回答書)」に書いて求めた。当然、”口約束”とは考えにくく、「契約」と書いてあるのだから、日付、当事者の署名があるのだろう。  さらに、甲第7号証、8号証は、わたしが廣田育英会(譲渡人)の代理となった不動産会社代表に送ったメールであり、どういう経緯か分からないが、個人情報取扱業者の不動産会社からKにわたしのメールが渡っている。不動産会社代表からわたしに個人情報開示の受諾の要請はなく、いくら内容に問題がないとしても、勝手にわたしのメールを渡すのは個人情報保護法を逸脱する。手続きに不備のある証拠の却下を求めた。  「照会書(回答書)」を提出するとともに、なるべく早く「本人訴訟」を起こすので、調停は「不調」にしてほしい、と伝えた。  調停期日呼出状には「正当な理由なく出頭しない場合は、5万円以下の過料に処せられることがある」と書いてあった。静岡簡裁に起こす「本人訴訟」は、「正当な理由」に当たらないということか。 「訴訟」を起こすのに、「調停」が必要か?  調停呼出期日は4月28日午後1時半。わたしは、3月22日、静岡簡裁の同じ書記官に「本人訴訟」の書類を提出、受理された。調停まで1カ月以上もある。書記官から「調停」と「訴訟」とも同じ簡裁判事と伝えられた。当然、簡裁判事は照会書(回答書)と訴状を読んでいるはずなのに、一切、連絡はなかった。  3月22日に「本人訴訟」を起こした際にも、わたしは書記官に調停不調を求めたが、書記官は出席を要請した。本人訴訟を起こしたのだから、調停は「不調」となることは明らかなのに、調停を行う理由が分からなかった。  4月28日、調停の席で「不調」を確認されただけで、何らかのコメントはなかった。せっかく、出席したから、M簡裁判事(男性)に「照会書(回答書)」はどうなったのか尋ねた。  M簡裁判事の反応は全くなかった。わたしが不動会社代表に送ったメールについて尋ねると、「裁判の証拠であるならば、個人情報保護法違反には当たらない」とM簡裁判事は答えた。個人情報保護法はそんな緩い法律なのか?   男女2人の調停委員(何の専門家なのか説明がなかった)は何らの質問もなく、ただにこやかに座っているだけだった。当然、報酬は支払われているのだろうから、これは”税金”のムダである。わたしにとっては、時間のムダだった。 「訴状」は問題なく受理されたがー  前後するが、3月17日に調停申立を受けると、すぐにでもKを被告とする68万円の滞納金請求訴訟を起こすことを決めた。140万円以下の訴訟を担当する簡易裁判所を訪ね、手続きについて聞いた。  簡易裁判所では、記載例に沿って、手書きで「訴状」を簡単に作成できるようなテンプレート(定型書式)を用意していた。空欄に必要事項を記入していく方式。手書きだけに、一度、失敗するとすべて使えなくなる恐れがある。特に「紛争の要点(請求の原因)」を、わかりやすく説明するためには、何度も書き直す必要がありそうだ。空欄もそれほどのスペースはなく、長くなっても構わないとのことで、裁判所作成のひな型を基に、パソコンで「訴状」をつくることで問題なかった。  記載例は「看板の取り外しで業者が看板を落としてしまい、原告の盆栽が台無しになった。弁償するよう求めたが、請求に対して支払いをしていないので、被告に8万円の損害賠償を請求する」という単純な事件だった。  このような単純な事件でないことは確かであり、なるべくわかりやすく書いて、ちゃんと説明しなければ理解してもらえないだろう。「紛争の要点(請求の原因)」だけで3ページを要した。  申立手数料は、10万円まで1000円、20万円まで2000円と10万円ごとに1000円ずつ増えていく。68万円は、70万円までだから7000円の印紙、被告へ送る切手代5330円の計1万2330円を用意した。  訴状は、裁判所と被告の2部必要であり、これまでの主張をそのまま書いた。マンション管理組合は法人格を持たないので、2021年3月の管理組合総会で訴訟を行うことを決めた議決事項を証拠とすれば、わたしが管理組合理事長であることが分かるから、総会議決の提出が必要と、と説明を受けた。  わたしから不動産会社を通じて、被告に68万円の滞納金を告知したメール、「非居住者の住民活動協力金」について法的根拠が示されていない廣田育英会からの2通の「通知」、「非居住者の住民活動協力金」に関わる管理規約の改正部分などの写しを証拠として提出した。  この訴訟の第1回口頭弁論は5月11日午前11時半から静岡地裁第101号法廷と決まった。(4月28日の調停期日までにKにも到着していたはずだ。それなのに、調停を行うのはやはり、おかしい) なぜ、静岡地裁へ「移送申立」なのか?  4月28日、調停で簡裁に出向くと、Kの被告訴訟代理人T弁護士(廣田育英会常務理事)による「移送申立書」を書記官から手渡された。これには、びっくりした。  T弁護士は4月22日付で静岡簡裁から静岡地裁へ移送するよう求めていた。ここで初めてT弁護士がこの裁判に参入したことを知った。「移送申立」の理由は、「管理規約で静岡地方裁判所を第一審管轄裁判所としているから、本件訴訟の管轄は静岡簡易裁判所ではない」としている。単に裁判を長引かせることがT弁護士の狙いと見て、この申立書に対して、反対意見書を4月30日、静岡簡裁に提出した。  結局、M簡裁判事は5月7日、「本件を静岡地方裁判所に移送する」という決定を下した。T弁護士の移送を求める理由ではなく、事案が複雑であるなど内容によっては、適正・公平な解決を図るために、事件を簡易裁判所から地方裁判所に裁量移送できると民事訴訟法18条で定めている。M簡裁判事は民事訴訟法18条を適用した。  そうなると、「本人訴訟」の内容をM簡裁判事はちゃんと読んでいたはずなのに、そのまま調停を行ったのは、おかしいということになる。M簡裁判事には、4月28日の調停期日の1カ月以上も前に、わたしの訴状が届いたはずだ。それほど複雑な事案ならば、調停になじまないとその時点で判断すべきでないのか。  『「本人訴訟」入門③法的根拠はあるのか?』の冒頭に書いた通り、「ものすごく単純な裁判」と考えていたが、M簡裁判事の見立てはそうではないことが分かった。背景には、「弁護士先生」がお出ましになった要因が大きい。こちらがいくら「ものすごく単純な裁判」と考えても、「弁護士先生」が相手となると「複雑な事案」となるのが、M簡裁判事の見立てらしい。  民事裁判に限らず裁判は、裁判官の心証で決まる。だから、判決の認定が必ずしも真実でない場合もある。M簡裁判事は、T弁護士の移送申立のあと、民訴法18条の「複雑な事案」であると、さも、法律家らしい脚色を加えて裁量移送の「決定」を下した。  結果的に、T弁護士の主張がそのまま通ったことになる。『「本人訴訟」入門②「弁護士」肩書の威力』通り、専門家(「弁護士先生」)に素人(管理組合理事長)が立ち向かうのは、民事裁判の上では、大いに不利ということがはっきりとした。簡裁判事らへの疑問がその思いを強くした。 静岡地裁へ移送して良かったのだ  6月7日付で、静岡地裁民事第1部書記官から「事務連絡」が到着した。静岡簡裁への疑問が大きかっただけに、この「事務連絡」もT弁護士の画策によるもの、と頭から思い込んでしまった。  「事務連絡」には以下のことが記してあった。  1、「資格証明」、①代表者である理事長が選任された総会議案書及び総会議事録又は理事会議事録を提出してください。②理事長の資格証明書(理事長以外の理事2名の連署により、現在も理事長とされているのものが代表者であることを証明するという内容の文書)。なお、他に理事が存在しない場合には、他の区分所有者2名の連署による同種文書。  2、「証拠説明書」、甲第1号証ないし甲第7号証の証拠説明書2通(正本、副本)提出してください。  3、「証拠の提出」、甲第7号証で引用する2019年3月30日総会の総会議案書及び総会議事録の証拠化を検討してください。  静岡簡裁では、こんなことをひと言も言ってなかった。T弁護士の要請で、静岡地裁が新たな面倒をわたしに押し付けてきたのでは、と不信感を抱いた。静岡地裁民事部書記官(女性)に電話を入れてから、地裁を訪れた。  まず、何よりも、この「事務連絡」がT弁護士とは全く関係のないことが分かった。ほっとひと安心だ。  「資格証明書」は民事裁判では必要であり、静岡簡裁書記官が言っていた総会の議事録では不十分とのことだった。「証拠説明書」も裁判ではふつうの書類であり、静岡簡裁では何も言わなかっただけだ。最後の「証拠の提出」も言われてみれば、何よりも必要な証拠が抜けていた。2019年3月30日総会の議案書及び総会議事録は、廣田育英会(T弁護士も登場する)との対立がどんなものであり、「非居住者の住民活動協力金」議決の経緯がはっきりとわかるからだ。  「事務連絡」を受けてから、3つの書類を提出した。それがどれだけ、大きな意味を持つのか、T弁護士の答弁書が送られてきてから、はっきりとわかった。  そもそも、静岡簡裁へ相談しに行った時点で、書記官はM判事に相談した上で、「この事件は簡裁で受理するのは無理だ」と言うべきではなかったのか?その後の調停手続きへの不信、M簡裁判事への疑問などが続いた。静岡地裁書記官と話をしていて、静岡簡裁から静岡地裁へ移送して良かったことがはっきりと分かった。

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「本人訴訟」入門③法的根拠はあるのか?

ものすごく単純な裁判のはずだった!  「本人訴訟」を決めた理由は、ものすごく単純な裁判だと考えたからだ。60万円以下の「少額訴訟」は1日で審理を終えて、審理終了後、判決が言い渡される。今回は「少額訴訟」ではないが、事実関係ははっきりとしており、68万円の請求訴訟でもあり、簡易裁判所ですぐに判決をもらえると期待した。  新所有者のKは、旧所有者(廣田育英会)の滞納金があることを承知してマンション3階を購入した。区分所有法第8条で、新所有者は旧所有者の滞納金を支払う義務がある。Kは、管理組合と滞納金を発生させた廣田育英会の問題であると勘違いしていたが、何度もKに滞納金を請求したところ、廣田育英会の主張「債務(滞納金)は法的に存在していない」が、唯一、Kの不払い理由となった。となれば、「滞納金が法的に存在するのかどうか」だけが裁判の争点となる。  2019年3月の管理組合総会で、廣田育英会に対する「非居住者の住民活動協力金」を議決した。これまでの経緯を見れば、常務理事のT弁護士が『「非居住者の住民活動協力金」は法的根拠に欠ける』などを記した「通知」を、わたし宛に送ってくるのが廣田育英会の常套手段である。弁護士の威信にかけて、廣田育英会は、管理組合の”横暴”をたたくはずだ。T弁護士名の内容証明郵便が届くのではないかと、毎日、どきどきしながら待ち構えた。  1カ月近くがたち、2019年4月26日付で廣田育英会は「通知」を簡易書留で送付してきた。T弁護士ではなく、息子のHによる紙切れ1枚で、内容も非常に簡単なものだった。とりあえず、弁護士からでないことにほっとひと安心した。  「当方(廣田育英会)はマンション管理士に相談したところ、このような根拠がなく、また一区分所有者だけの負担が増えるなどの、平等性のない管理費の実質的な値上げ要求には応じられない」ので、「従来通りの管理費を支払う」などと、一方的な主張が書かれていた。  「平等性」云々では、管理組合総会の議決は無効にならないはずだ。T弁護士ならば、何らかの法律条項を踏まえ、「このような議決をするのは言語道断」「法的に全く誤っている」などと攻撃する。ところが、今回の通知で、Hは「マンション管理士」に相談、「根拠がない」と言っているだけだった。これでは何の説得力もないことは、法律に詳しいH自身がよくわかっているだろう。  3月の総会で管理組合から”奇襲攻撃”を受けて、ふだんと違って、何も言えないまま、Hは「非居住者の住民活動協力金」の議決を受けざるを得なかった。その後、法律の専門家である父親のT弁護士に相談したはずだ。「マンション管理士に相談した」と書いてきたのは、T弁護士は病気にでもなったのか。これでは、管理組合総会の議決を有効と認めたことになる。Hの主張だけでは、滞納金は法的に存在していることになる。  本当に、マンション管理士に相談したのか?それも口から出まかせか?もし、相談したのが事実でも、マンション管理士が「根拠がない」などとアドバイスするのか?いくら何でも、Hから一方的な説明を受けたから、マンション管理士も適当に話を合わせただけだろう。本当に、マンション管理士に相談したのかどうか、確認すべきだろう。マンション管理士とはだれかを廣田育英会に問い合わせた。  拍子抜けの「通知」をもらい、甘く考え、油断があったのだ。 弁護士一家が「マンション管理士」に相談?  「マンション管理士」と言っても、どのような職業か知る人は非常に少ない。2001年創設された国交省主管の国家資格。マンション管理組合の依頼を受けて、大規模修繕などの助言や指導をするのが主な仕事である。区分所有法やマンション管理適正化法に詳しくても、「弁護士」のように「訴訟代理人」となる権限を持たないから、今回のような複雑な問題に一方的に「根拠がない」など言える専門家ではない。  一般的に「マンション管理士」の肩書は、管理会社社員が名刺に付け加える程度のものである。多くのマンション管理組合は管理会社に任せきりだから、管理会社社員がマンション管理組合の信用を得るための資格とも言える。「弁護士」のように独立して、個人事務所を構えるマンション管理士はほとんどいない。マンション管理士の資格だけではお金にならないのだ。なぜ、Hがマンション管理士に相談したと書いてきたのか、不思議でならなかった。  2019年5月16日、静岡駅近くで、廣田育英会が知らせてきたマンション管理士「田原」の都合に合わせて、時間、場所を設定した。初対面のあいさつで、こちらは名刺を出したが、名刺を切らしたと言い、静岡県主催の「マンション管理士によるマンション管理セミナー&相談会」の1枚チラシを取り出して、講師名にある「田原忠裕」が自分である名乗った。ここで、変だと思うべきだった。  わたしは、マンション管理組合と廣田育英会とのトラブルや対応等を詳しく説明した上で、「田原」がHの文書にあるように「非居住者の住民活動協力金」が本当に「根拠がないと言ったのか」ただした。  「田原」は最高裁判例(数千円)に比べて高いが、「非居住者の住民活動協力金」請求に違法性等はないなどと話した。約2時間半にもわたる、わたしとの会合の結果を「田原」は廣田育英会に伝えると話していた。わたしは、マンション管理士「田原」が管理組合側のトラブルについて理解してもらった旨を組合員にメールで知らせた。これで「田原」との関係は終わりのはずだった。  ところが、1週間後の5月23日朝、7階所有者Xに、廣田育英会から「田原」との面会を要請するメールが来たことを伝えられた。当然、わたしは「田原」との面談の結果をメールで伝えている。Xは「どうすればいいのか」と聞いてきたのだ。  この時点では、どういう事情なのか、さっぱり分からなかった。2時間半もの面談で、「田原」は管理組合の主張を十分、理解してくれたものとばかり思っていた。  それなのに、「田原」が別の組合員の意見を聞きたいと、廣田育英会は言ってきている。「田原」に名刺を渡したのだから、何か疑問があるならば、わたしに聞けばよいのだ。わたしの頭越しにそんな対応をすることに、強い不信感を抱いた。  「廣田育英会Hには、わたしと同じ意見であり、『田原』に会う必要はないとメールしてください」と連絡し、「田原」に直接、なぜ、Xに会いたいと、言ってきたのか聞いてみることにした。廣田育会は管理組合の切り崩しに掛かっているのかもしれない。 廣田育英会サイドのマンション管理士とは?  「田原」に連絡を入れた。わたしからの電話に、「田原」は驚いた様子だった。  「田原」は「問題を解決したいが、あなたでは妥協点がなく、別の組合員と話をして妥協点を探るのだ」などと高飛車に出て、1週間前の雰囲気と全く違っていた。「あなたみたいに強情では、何の解決にもならない」と言うのだ。  「なぜ、当マンション管理組合のトラブルに、理事長ではなく、別の組合員にまで会って事情を聞くなどの対応するのか」と尋ねると、「田原」は「相談業務を受けている静岡市に報告義務があるからだ」と答えた。「報告実績をつくることで、現在、県マンション管理士会が無償でやっている相談業務を有償にさせる資料とする」などと説明した。  さらに、3月の管理組合総会で「3階キャバクラ寮の契約解除」問題を棚上げにさせるため、廣田育英会のHは唐突に収支決算の疑問点を投げ掛けた。わたしの単純な計算ミスと、8階所有者の滞納分が続いていて、収入があった時点で修繕積立金に入れる金額を落としていたのだ。総会後、廣田育英会には「会計担当理事が通帳を照合の上、単なる計算ミスであり、次回理事会、総会でその結果を報告する」などと送った。  ところが、「田原」は「1年も先の総会ではまずい、ダメだ、お金のことは99%が賛成していても、1%が反対ならばダメだ。1円でも計算ミスがあってはならない」などと述べ、「ダメだ」を何度も繰り返した。何かこちらに大きなミスがあるような口調で、「田原」の「ダメだ」が真実のように聞こえてきた。  さらに、「非居住者の住民活動協力金」について、廣田育英会に示した金額が最高裁判例に比べて高いことを指摘して、「違法と思われる」とまで言った。わたしがどこが「違法なのか」尋ねると、「『違法』であると断定しているわけではない。違法と思われると言っただけだ」と「田原」はかわした。  「田原」が、廣田育英会の立場を代弁していることがはっきりとわかった。3月の総会でもHは収支計算の間違いに難癖をつけ、「お金のことは1円でも間違ってはならない」と強く言い、「すぐに訂正した上で、廣田育英会のチェックを受けるべきだ」と強硬な姿勢を見せた。「田原」はまるで、廣田育英会Hと同じ口調だった。  専門職のマンション管理士が自信たっぷりに「非居住者の住民活動協力金は違法と思われる」などと言えば、7階Xは「違法」と頭から信じてしまうかもしれない。「田原」との会合はあまりに危険性を伴う。 マンション管理士の真っ赤な嘘が明らかになった  マンション管理組合のトラブルを静岡市に報告すれば、マンション名などが特定される恐れがあり、「田原」の話にいくつか疑問を抱いた。  その日の午後、静岡市に電話で確認した。「相談会のあと、マンション管理士に管理組合内のトラブルなどを報告する義務は一切ない」と担当者が答えた。マンション管理士への有償の話も一切、出ていない。これで「田原」が真っ赤な嘘をついていることが明らかになった。  静岡県に出向き、3月9日「田原忠裕」が講師になったマンション管理士セミナーについて教えてもらった。講師は静岡県マンション管理士会からの派遣であり、「田原」個人に依頼したものではなかった。公的な仕事をする「専門家」をアピールするにはもってこいだが、名刺を出さなかったことに何らかの意図があったのだろう。  「田原」に再び、電話を入れて、「静岡市担当者は報告義務などないと言っている」と追及すると、「田原」は嘘であることを認め、発言を撤回、「静岡県マンション管理士会へ報告をするためだ」などと述べた。  どうも、これもうそ臭いので、日本マンション管理士連合会(東京・千代田区)に連絡を入れて、事情を説明すると、担当者は「もし、お話が事実とすれば、当該のマンション管理士は非弁活動の疑いがある」などと話した。非弁活動?弁護士の資格を持たない者が弁護士活動によって報酬を得る行為を指し、違反者は2年以下の懲役または300万円以下の罰金という罰則まで設けている。  わたしは一連の経緯と「田原」に対する疑問点をまとめて日本マンション管理士連合会に送った。2カ月近くたってから、日本マンション管理士連合会から「田原」問題の釈明などともに、今後、「田原」は行政相談会の相談員から外す、静岡県マンション管理士会から直接の説明と謝罪を行う、などとあった。  静岡県マンション管理士会長が連絡を寄越し、お詫びの報告に訪れた。「田原」の非弁活動の疑いに一切の説明はなかった。ただ、廣田育英会が「田原」を使って、管理組合のトラブルに介入させようとしたことは間違いなかった。  「非居住者の住民活動協力金」の督促通知を廣田育英会に送り、その中で「田原」の非弁活動の疑いについても指摘した。2020年2月27日付で広田育英会Hからは、速達で「通知」が送られてきた。  『法の場以外では「3階キャバクラ寮の契約」は解除しない、「非居住者の住民活動協力金」は今後とも支払いは拒否する、管理組合が正当性があると思われるのならば、裁判所の判断を仰げばよい』などと書かれていた。時効をにらんで、「非居住者の住民活動協力金」の滞納分がたまった時点で、滞納金請求訴訟を起こすことを決めていた。  廣田育英会がマンション管理士「田原」に非弁活動を疑わせる行為をさせたことで、「非居住者の住民活動協力金」の法的根拠に疑問の余地がなくなった。「3階キャバクラ寮の契約」解除に向けて「非居住者の住民活動協力金」が有効に機能していることを確信した。  しかし、なぜ、「非居住者の住民活動協力金」は法的根拠に欠けると指摘しなかったT弁護士が、Kを相手取った68万円の滞納金請求訴訟で被告代理人となったのか?「本人訴訟」を行ったあと、まさか、T弁護士が被告代理人で出てくるとは思わなかった。

ニュースの真相

「本人訴訟」入門②「弁護士」肩書の威力

滞納金68万円の内訳とは?  廣田育英会常務理事に、「弁護士」の肩書をわざわざ入れた2通の「通知」がTから送られてきた。速達、書留による弁護士からの「通知」とあれば、重大用件である。こんな手紙をもらえば、法曹界の人間でもない限り、緊張しない人はいないだろう。こちらが重大な間違いをしているのではとびびってしまい、速達、書留を開封することさえためらわせる。  弁護士の「権威」をかさに着るTだけでなく、息子のHも法律家のように専門用語を使い、もっともらしい理屈の問題に置き換えて、入居者の無断駐車をわたしが許可したなど一方的な主張を内容証明や書留で送ってきている。こうなると、穏便な解決の道は遠くなってしまう。紛争事をなるべく避けて、お互いの妥協点を探るのが社会の常識である。一方的な主張にも関わらず、相手側はこちらの理屈に従うべきだというのがT弁護士、Hの強引な手法だ。それがいままで通用してきたのかもしれない。  廣田育英会には社会の常識が通じるメンバーはいないのか?Hには何度も代表者たる理事長Sとの面会を要請したが、回答は全くない。「T弁護士の娘も廣田育英会職員だ」と、元の不動産会社担当者が教えてくれた。  一度、理事長Sの自宅に電話すると、Sは「すべて事務局(H)に任せている」と話していた。それでは困るのだ。廣田さんの莫大な財産を有する財団法人を、T弁護士とその息子、娘の家族総出で運営に携わっている。HPはあるが、毎年度の収支報告や事業報告を開示していない。すべて「弁護士」ならではの特権なのか。  今回の問題は、「弁護士」とは何かを考えさせるきっかけとなった。 「非居住者の住民協力金」議決される  「3階キャバクラ寮の契約解除」を主要議題とする2019年3月30日の管理組合総会を前に、あらためて廣田育英会理事長Sに出席を求めた。直接、Sの自宅及び財団法人事務所に書留で総会へ出席するよう依頼の手紙を送った。  結局、総会に出席したのはS理事長ではなく、事務局員のHだった。Hは何かの議題がある度に、「廣田育英会は個人ではなく、法人であり、持ち帰って理事会に諮って回答する」などと述べてきた。このため、Hがこのまま総会に出席するのならば、「廣田育英会を代表する責任者である」と自書するよう求めた。Hは求めに応じた。  総会では、3階キャバクラ寮の契約解除が進まないことを見極めた上で、7階所有者が「すでに半年以上、管理組合の要請であるルールを守らない。現行の管理費17000円に、3階には親族でない者が少なくとも3人が居住しているから、2人分の34000円を加え、51000円とする値上げ」を提案した。Hからは3階に2人居住の報告があったが、普段の生活実態から3人が居住しているのは確実だった。  わたしから、3階に「管理費ではなく、非居住者の住民活動協力金」を徴収することを提案した。3階キャバクラ寮の状態が続く限り、「住民活動協力金」34000円を廣田育英会に負担してもらうことを、廣田育英会を代表する責任者Hを除く、全会一致で議決した。  その後は、廣田育英会理事長のS宛、3階キャバクラ寮の契約解除とともに滞納金の支払いを求めることになった。「住民活動協力金」が奏功したのか、廣田育英会は3階を売却したのである。その結果、2019年4月分から2020年12月分までの「住民活動協力金」68万円の滞納金が未払いとなった。  区分所有法第8条では、管理組合は新しい所有者(譲受人)に対して滞納金の請求ができる。新しい所有者は旧所有者(譲渡人)の滞納分といえども支払わなければならない。この滞納金をどちらが負担するかは、譲受人と譲渡人の当事者間の約定で決まり、管理組合の請求権とは関係ないはずだ。  ところが、12月に新たな区分所有者となったKは、廣田育英会から「債務は法的に存在していないから無効」という説明を真に受けて、管理組合への支払いを拒否した。  Kはあくまでも、滞納金は管理組合と廣田育英会との問題であると主張していた。新たな所有者であるKには、全く関係のない問題と勘違いしていた。だから、わたしは何度もKに対して、滞納金の請求を行った。  2月16日にKからもらったメールには、廣田育英会に相談に行ったところ、「債務(滞納金)は法的に存在していないから無効」と主張する「弁護士先生」が2度、登場する。このメールを読んでから、電話で「弁護士先生」とは誰かと尋ねたが、Kは弁護士の名前さえ言えず、当然、名刺ももらっていなかった。  「弁護士先生」はTである。名前はちゃんと知らなくても、弁護士はKには、とてもエライ、恐れ多い「肩書」であり、「弁護士先生」と呼ぶべき存在なのだ。これが社会一般の見方なのだろう。 「権威=弁護士」に従いやすい人間の心理状況  3月2日のメールで、Kは「訴訟という手荒な選択をしたくなく、まずは公平な立場である裁判所に意見を伺うために調停申し立てをした」「問題解決のために時間をいただきたいので理解してほしい」などと書いてきたから、当然、K(譲受者)は廣田育英会(譲渡者)を相手取って、調停を行ったものとばかり思ってしまった。  3月13日の管理組合総会の席で、Kはわたし(管理組合代表)を相手取って調停を起こしたことを明らかにした。これまでの経緯をよく理解せず、また、新たに管理組合の一員として、マンション管理規約や管理組合総会の議決を遵守しなければならない立場なのに、Kは「弁護士先生」(廣田育英会)を頭から信用してしまい、管理組合を相手取って調停を申し立てたのだ。  米国の心理学者スタンリー・ミリグラムによる有名な「ミルグラムの実験」から、権威者の指示に従いやすい人間の心理状況が実験で明らかにされている。権威への服従という人間の性向は誰でも心の中に潜んでいるようだ。T弁護士から届いた速達、書留の「通知」を開けるのを躊躇させるのも、「権威」への恐れがあるからだ。また、Kのように盲目的にT弁護士を信用することにも通じる。  法律はいわば一般の人にとって見れば「権威」であり、弁護士はその権威の代弁人である。Kは、わたしがいくら説明しても「聞く耳」を持たない。それは、「弁護士先生」のことばすべてが真実であり、それだけで、管理組合が請求する68万円が間違っている理由になるからだ。  だから、恐れ多い「弁護士先生」が後ろ盾なのに、まさか、法律とは全く無関係の管理組合が、Kを被告として「本人訴訟」を起こすとは思ってもみなかったのかもしれない。 静岡簡易裁判所のびっくりする対応  ただ、社会はKと同じような性向にあることを思い知らされる。  まず、静岡簡裁に電話を掛けて、1998年に導入された「少額訴訟」について教えてもらった。そもそも請求額が60万円以下でもあり、また少額訴訟で対応できるような事件ではないとの判断を聞いた。それで、静岡簡裁に出向き、「本人訴訟」の手続きを聞くことにした。簡易裁判所への訴状は、裁判所の用意したテンプレートを参考に作成すればいいらしい。証拠書類についてもちゃんと聞いておかなければならない。  訴訟の相談に行くと、びっくりするような経験を味わうことになった。ひと通り、わたしが訴訟の内容を説明したところ、担当者は「新たな所有者に請求する根拠となる法律はあるのか、それがなければ訴訟を起こせないよ」などと言ったのだ。まさかの問い掛けに、わたしは首をかしげてしまった。  裁判所に入ったところで、「素人のお前はちゃんと法律を分かっているのか」と言われたようなものだった。「権威」である弁護士でなく、マンション管理組合理事長だから、裁判所を初めて訪ねて、何か聞けば、そのような対応をするのがふつうなのかもしれない。  わたしは「裁判所が競売物件に出している熱海などのマンション価格が1万円だったりしている。そんなに安いのは、滞納した管理費等が莫大な金額になっているからではないか。莫大な管理費等を支払うのは物件を購入した新しい所有者のはずだが―」とただした。区分所有法第8条ではなく、熱海のマンションなどの競売物件でおなじみの問題だから、裁判所職員はそのくらいのことは承知していると考えた。  この経験は、「本人訴訟」のハードルが非常に高い印象を与えた。”素人”に対する裁判所の姿勢が見えたからだ。これでは、T弁護士に散々な目に遭わされるかもしれない。 弁護士業もビジネスでしかない  すぐに弁護士事務所に電話を入れた。これまで「3階キャバクラ寮の契約解除」について、何人もの弁護士に相談していた。「法律は社会常識を基にしている」「キャバクラは反社的な存在だから、出て行ってもらうのが筋だ」などのアドバイスを得たが、矢面に立って相手側に交渉を申し出る弁護士はいなかった。損害賠償請求のようにお金が絡んでいる問題ではないから、弁護士に依頼する場合、いくら支払うのか非常に難しいからだろうと考えていた。今回の場合、68万円が請求額である。  名刺を探して、「キャバクラは反社的な存在だ」と断言した弁護士に面会を求めて事務所に電話を入れた。女性事務員に問われるまま、68万円の滞納金請求訴訟について簡潔に話をした。夕方になって、事務員から「現在、忙しいので会うことはできない」と断ってきた。  旧知の弁護士を訪ねて、正直に話してもらった。68万円であっても、最終的に80万円から100万円を支払ってもらわなければ、面倒な作業量などから見て、割りに合わないのだという。相談を受け、アドバイスをするから、「本人訴訟」でやるよう勧められた。相談料は10万円だという。  2年ほど前、著作権法違反事件で静岡県知事宛に「申入書」を提出した。申入書を作成したあと、最終的には弁護士名で知事に提出した。これも弁護士という「権威」を重く見た結果だ。弁護士には、名義料として「5万円」を支払った。その後、記者会見、裁判等を行うのであれば、50万円から100万円の費用を請求すると言われた。街中に事務所を構え、2人の弁護士、数人の事務員を雇っているから、わたしと個人的な付き合いがあってもボランティア仕事はできないのは理解できた。  もし、弁護士費用80万円支払って、滞納金68万円を勝ち取ったとしても、管理組合員たちから文句が出ることは言うまでもない。ある組合員は「とりあえず、キャバクラ寮の状態は解消されたのだから、それでいいとすれば」とまで話していた。わたしは「Kが68万円を少しまけてほしい、と言ってくるならば、それに応じるのは構わない。ただ、滞納金は法的に存在しないをそのまま受け入れるわけにはいかない。管理組合総会で議決したことを守ってもらう。ちゃんとけじめをつけなければ、同じことが必ず起きてしまう」と説得した。  68万円の滞納金請求は、「本人訴訟」でやるしかない。もし、本当にT弁護士が出てくるならば、この複雑な事情を最もよく知っているのはわたし以外にはいない。法的手続きについては、弁護士からアドバイスを受ければいいのだ。  3月22日、静岡簡裁に管理費等滞納金請求事件の訴状を提出した。 ※タイトル写真は静岡県法律会館(通称が静岡県弁護士会館らしい)。T弁護士は東京第一弁護士会所属であり、静岡県弁護士会所属ではない

ニュースの真相

「本人訴訟」入門①民事紛争の発端から?

25年以上、マンション管理組合理事長を務める  わたしが1995年4月からマンション管理組合の理事長を務めるマンションは、8階建て鉄骨鉄筋コンクリート建物1階が駐車場、エレベーターを降りると、そのまま玄関で2階から8階が住居、7世帯が暮らすという非常に小規模なものである。1991年4月に完成した。  わたしは1993年7月に、その1室を購入した。これで、4室は売れたが、3室は不動産会社が賃貸に出していた。賃貸物件の1室に、マンションを分譲した不動産会社社長も入居していた。入居した当時、管理組合は結成されていなかった。さまざまなトラブルがあり、不動産会社関連の管理会社に、早急に管理組合発足の総会開催を求めた。12月になって、管理組合設立総会が開催された。不動産会社社長が理事長、管理者を務め、わたしは監査役に就いた。  不動産会社は1991年4月時点から売れ残りマンションの管理費、修繕積立金を支払う義務があるのだが、収支決算を見ると、デタラメだった。不動産会社は未払いの管理費等の支払いに応じず、わたしは静岡地裁に調停を申し立てた。不動産会社側は管理委託費をもらっていない、社員の行った清掃費未計上などと抗弁した。この調停に、不動産会社は弁護士を立ててきた。結局、未払金の半分を貰うことで手を打ち、今後は自主管理を行っていく道を選んだ。7世帯のみの管理費等で管理会社に委託すれば、将来的に収支がマイナスになるのは目に見えていた。(マンション購入時は住宅ローン返済で頭がいっぱいで、マンション管理の問題など全く考えられなかった)  1995年3月の総会で理事長に就き、毎月の会計管理、マンション全体の維持、修繕、公共機関などとの交渉を引き受けるのが仕事となった。管理規約では「役員の任期は、毎年4月1日から翌年3月31日とする」と決まっているが、「再任をさまたげない」とも定めているから、わたしの都合のつく限り、なるべく長く理事長を続けてほしいとの要望を受けた。毎年の総会で理事長選任の手続きは省かれた。就任当初は無報酬だった。のちに月5千円の報酬。トラブルが続き、2年前から月1万円となった。  「本人訴訟」を行うトラブルの舞台となる3階には、故廣田さん(面識はない)の介護人だった今吉さんが住んでいた。入居後、亡くなった廣田さんは風俗関係の事業で大儲けしたが、身寄りが全くなく、莫大な財産は育英会をつくって子供の教育に使ってほしい、という遺言を残したのだという。遺言執行者をT弁護士(東京第一弁護士会)に依頼したのだが、公正証書遺言ではなかったようで、廣田さんの姉(実姉ではない)の息子を名乗る人物が現れたり、遺産相続を巡る争いが起きたことなどを今吉さんが詳しく話してくれた。事情に詳しい今吉さんは数年後、T弁護士に追い立てをくらった。  廣田さんの名前を冠した廣田育英会が設立されたのは、亡くなってから10年以上もたってからである。T弁護士は廣田育英会常務理事に就いた。その後は、廣田育英会が3階の所有者となった。2018年から始まった廣田育英会との面倒なトラブルが、今回の「本人訴訟」に関連するので、のちほど詳しく説明する。  その面倒なトラブルが続いているさ中、広田育英会は2020年12月に3階を売却した。 滞納金68万円は支払わなくていい?  2020年10月22日、廣田育英会から売却の仲介を任された不動産会社代表ら2人から、3階売却の準備を進めていることを聞いた。また、すでに購入を希望する相手がいるようだった。不動産会社には、廣田育英会に滞納金があり、何度も督促をしている事実を告げた。  マンション売買は「重要事項」を告知する義務が不動産会社にある。今回の売却交渉に当たって、購入希望者には廣田育英会との間にトラブルがあり、滞納金がある旨を「重要事項」として説明するよう求めた。不動産会社は購入を仲介する別の不動産会社から購入希望者に伝える、と応じた。  11月になって、売却がほぼ、決まったという話を受けて、11月22日に廣田育英会の滞納金は11月までで68万円となり、ちゃんと清算するようメールで求めた。  12月10日のマンション購入時、3階を購入したK(独身女性)、売買を仲介した2つの不動産会社代表と面会した際にも滞納金68万円を支払うよう求めた。その後も引っ越しの終わるまでに、滞納金を清算するようKに電話及びメールで要請した。  Kは2月16日のメールで「債務は存在していない(引き継ぐ必要がない)」「引き継いでいないから、Kに支払い義務がない」「もし、Kが独断で支払いをしたら、今後一切、協力しない」と廣田育英会が言っている、マンション購入契約時に「債務の話は聞いていたが、債務は法的に存在しないから無効」「債務関係は廣田育英会が対応してくれる」「廣田育英会が対応する代わりに、支払いをしてはならない」という契約を廣田育英会と結んでいるので、Kは支払いはできないのだ、という。  T弁護士が「Kと話してもらちが明かない」「話し合いの場を設けるのならば話をしてやってもいい」とメールに記されていた。つまり、Kはこのトラブルについて、廣田育英会、T弁護士の主張を全面的に信じて、支払う義務はないと言ってきたのだ。 廣田育英会が「キャバクラ寮」にしてしまう  2016年頃から、廣田育英会の事務局員(理事)にT弁護士の息子Hが就き、それまで管理を担当していた不動産会社を切り、直接、3階の管理に当たるようになった。8月に3階台所天井の大規模な水漏れが発覚、大騒ぎとなった。その修理などを経て、2017年9月29日、Hから3階に新入居者があることを電話で告げられた。どのような人物であるか聞いたが、個人情報だから告げられないと回答。翌日(30日)、Hと不動産会社代表が「第三者に関する届け出事項」(日付は9月29日)を持参した。  賃借人には「太田雅仁」とあり、呉服町2丁目の住所が記されていた。「太田雅仁」が301号室を使用するにあたり、規約・使用細則等を遵守することを誓約していた。10月1日、若い男性がインタホンを鳴らしたので、出て行くと、「3階に入居する者である」と言った。名前を聞くと、「太田」ではなく、「榑林」と名乗った。昨日貰った「第三者に関する届」の名前と全く違っていた。「何をやっているのか」と聞くと、「キャバクラの店長だ」と答えた。「太田雅仁」はキャバクラ経営者だという。その午後に、駐車場にゴミ袋が置いてあったので、中身を調べると、「榑林」名の水道料金の督促状が混ざっていたから、廣田育英会に連絡した。  すぐに不動産会社代表が現れ、「若い者なので許してやってほしい。大目に見てほしい」などと謝罪した。  11月になって、「榑林」からインタホンで「大家さん、駐車場が空いているならば、借りたい」などと言うから、わたしは「大家」ではないと断った上で、「もし、駐車場を借りたいのであれば、廣田育英会に言ってください。ただ、現在は空いていない」と答えた。「榑林」は6階が借りている駐車場区画がいつも空いているので、それを借りたいのだと理解できた。事情があって、6階はふだんは車を止めていないが、駐車料金を支払っていた。  12月になってから、6階区画に灰色の車が駐車されるようになった。6階の車だろうと気軽に考えていた。3月になって、6階からのメールで駐車場の車が全く別人の物であることが発覚、すぐに陸運局で調べてもらい、車が「太田雅仁」所有であることが判明した。  つまり、3階「榑林」が無断で不法駐車をしていたのだ。「榑林」以外に別の者も3階に居住しているらしいが、分からなかった。  廣田育英会のHを呼んで、不法駐車の件を話すと、3階「榑林」はすぐにインタホンで謝罪を求めてきた。この件は、区分所有者で3階を管理する廣田育英会との話なので、「榑林」の謝罪は棚上げとした。廣田育英会のHには、不法駐車していた4カ月分をまず、3階「榑林」に支払わせ、廣田育英会から管理組合に支払うよう求めた。過去にも、他の入居者が無断駐車していたことで、管理組合総会で「不法駐車は1日1万円」というルールを決めていた。6階が1日1万円ルールを主張する可能性もあるから、ここは4カ月分の駐車料金を支払ったほうがよいと話した。  3月の総会でも、同じ話をしたが、Hは聞き入れなかった。総会後、3階「榑林」はインタホンで、「大家さんが止めてもいいと言っていた」とこれまでの主張を変えた。3階「榑林」にとって、わたしはいつまでも「大家」であり、マンションの区分所有について理解できないようだった。  マンション近隣の住人が「早朝5時過ぎに若い人たちが大挙して、ここに来ていて、あなたのマンションの雰囲気が変わった。異様だ」などと話した。その話などで、3階がキャバクラの社員寮になっていることがようやく判明した。  何かもっと大きなトラブルが起きる可能性もあり、早急に対応しなければならない。理事長として早急に対応すべき問題となった。 キャバクラ寮の契約解除を求める  2018年9月に管理組合臨時総会を開催した。当日の議事録及び結果事項を示す。  『昨年12月から3月まで無断駐車していた入居者は、3月の組合総会後に理事長と面会を要請、入居者は「理事長の許可を得て駐車した」と説明。理事長は「無料で駐車できるスペースはどこにもない」と言ったところ、「お金は払うつもりだった」と答えた。ところが、現在においても管理組合への支払いを行っていない。  問題を穏便に解決するために、組合としては4カ月分の駐車料金を支払い、その間の6階の駐車料金を免除する方針であるが、その解決策に区分所有者の廣田育英会Hが異論を持ち、Hは駐車場を借りている6階との問題であり、6階と話し合って解決するので、管理組合との問題ではないと主張している。  現在の3階入居者は「キャバクラを業とする会社(会社名等不知)の従業員寮」という状態であり、これまで管理組合ではそのような使用を認めないと決定しており、Hから理事長に届け出た内容は虚偽であり、管理組合として、そのような使用はできない旨を申し伝え、早急に3階入居者との契約を解除するようHに伝えた。  また、6階駐車スペースへの3カ月余にわたる無断駐車(3階入居者は理事長の許可を得ていると主張しているが、現在に至っても駐車場料金は支払っていない)など一般的な常識に欠いている部分が多いことも契約解除を求める要件である。  7階入居者から、「3階入居者との契約は期限を区切っているであろうから、その期限更新の際に契約解除するのが合理的ではないか」との意見が出された。Hに期限はどうなっているのか問い合わせたが、「財団に戻らないと分からない」と回答した。  組合としては現在の寮としての使用できない旨をHに伝え、早急に対応するよう要請した。Hは、契約期限等について理事長に報告すると答えた』  その後、廣田育英会から「3階キャバクラ寮の契約解除」について、自動更新であり、未来永劫、「太田雅仁」との契約は続く旨の報告を受けた。その後、何度も契約解除を求める手紙等を廣田育英会理事長宛に送った。 廣田育英会から内容証明郵便が届く  広田育英会の理事長印があるが、氏名が記されていない内容証明郵便が11月になって送られてきた。当然、Hが書いたことは分かった。  『当該駐車場の専用権は6階が有し、駐車場の使用に関する当事者適格は6階にあるものと思料され、当財団と管理組合の問題ではない』などと書かれ、T弁護士の息子Hも法律を学んだことをうかがわせる。ただ、たった8万円の駐車場料金なのに、話を複雑にしているようだった。  また、3階キャバクラ寮の契約解除については、『当財団はコンプライアンスを重視しており、法的根拠を旨とした検討の結果、3階の賃借人との賃貸借契約については、3階の賃借人の住居使用状況、駐車場使用の件などを検討しても、賃借人に債務不履行も借地借家法第28条の更新拒絶の正当事由も見当たらないのであって、到底法的に契約解除や契約更新の拒絶を求められるところではない』などこちらも法律用語満載で書いてきている。  つまり、廣田育英会と「太田雅仁」との契約において、いくら管理組合が求めても、契約解除ができないと言っている。そもそも、キャバクラ寮とするなどこちらは聞いていないのだから、その説明をしなかった廣田育英会に問題があることをHは無視していた。  その後、さらに2通の「通知」がHから内容証明郵便などで送られてきたあと、Hの父親であり、廣田育英会常務理事のT弁護士が2つの通知を送ってきた。さらに法律用語満載で、また、Hからの情報を基にT弁護士が文書を作成していることがわかった。  今回の「本人訴訟」では、わたしは管理組合代表として原告となったが、被告の訴訟代理人はT弁護士である。68万円という少額の滞納金請求事件でT弁護士がお出ましなのは、Kとの契約からなのだろうか? (きょうはここまでとします。近日中に「本人訴訟」入門②をお送りします)

ニュースの真相

リニア騒動の真相92難波副知事「ダブスタ疑惑」2

静岡新聞の素晴らしい記事とは?  7月29日付静岡新聞で長野県大鹿村を取材した『大井川とリニア 県外残土の現場から』のワッペンが付いた連載企画が始まり、『豪雨災害の懸念拭えず』という大きな見出しがついた。記事内容は相変わらず、都合のいいように会話の断片を取捨選択していた。「川沿いに盛り土を造って大雨の時に崩れないのか」「崩壊地の末端に盛土工をするのは本来は良くない」「地滑りの危険と隣り合わせの地域。安全対策と住民への説明を徹底してほしい」など、静岡新聞読者にリニア工事の不安を煽ることが目的のようだ。(写真説明には、「豪雨災害を経験した住民の中には工事に慎重な人もいる」とあるから、実際、村人のほとんどが地域の生活改善につながるリニア関連工事を望んでいることがはっきりとわかる)  今回の熱海土砂災害で、豪雨災害の危険が予測される地域に住んでいた人たちに責任の一端があると批判する記事と同じである。一度、幸田文『崩れ』(講談社文庫)を読むべきである。「なんと日本中には、崩壊山地が多いことか。あっちにも、こっちにも崩れだらけ」「唖然というか、呆然というか、それは確かに日本という国は、せまく細長いからだへ背骨のような山並がつらなっていて、だから川は急流が多い」「こんなに崩れが多いとは、途方もないことだと思った。ひどい国なのだなあ」(『日本三大崩れ』の安倍川源流部の大谷崩れを見たあと、幸田文の素直な感想が書かれている)。そんなひどい場所にわたしたちは住んでいる。大なり小なりの危険地域に住むのは日本人すべての宿命であり、険しい山間地に住む人でも文化的で、幸福な生活を望んでいる。静岡新聞記事は、自分たちは安心、安全な都会からやってきて、「ここはひどい場所だなあ」と高みの見物を決め込むようなものである。  がっかりして、紙面を閉じようとして、ふと、その隣の面を見ると、びっくりするような素晴らしい記事(事実をありのままに書くこと)が掲載されていた。読者の投書欄である。磐田市の文筆家伊藤寿克さんがリニア問題について、静岡新聞記者とは全く違う視点で”事実”を見極めていた。  『(前略)リニアは、静岡県に利点がないというけれど、リニア沿線を見ると、山梨県駅(甲府市)へは富士駅からJR身延線でたどり着ける。長野県駅(飯田市)には北遠地域が沿線のJR飯田線で行くことができる。静岡県民もリニアの利用は可能なのである。  リニアが開業すれば東部や伊豆地域、浜松市天竜区は移住を希望する人が増えてくる可能性もある。若い世代が減少し過疎化が進む地域の活性化に、リニアは起爆剤として必要な交通手段だ。県当局に方針転換を求めたい。  国土交通省は専門家会議を設置し、水問題の解消へ死力を尽くしている。掘削工事の技術は日進月歩で向上している。県はJRを信じてほしい。日本の経済成長のために、リニア沿線自治体と共同歩調を取ってほしい。県民を肩身がせまい思いから解放してほしい。』  熱海の土砂災害で山梨、長野の両県だけでなく、リニア沿線各県からさまざまな支援を受けている。いまこそ、リニア沿線自治体の声をちゃんと聞くべきである。静岡新聞は、読者の投書記事に救われた。 山梨の人たちは富士山を「貧乏山」と呼んだ  山梨、静岡の違いを紹介する。   山梨、静岡の両県の富士山麓に生活する人たちにとって、富士山の環境保全は共通の認識である。ただ、その「保全」の意味は全く違う。1993年当時、世界で最も傷ついた「国立公園」富士山を世界遺産として保全、富士山の環境問題解決を推進する活動に取り組んだ。そこで、山梨、静岡の人たちの考えがいかに違うのかを何度も目の当たりにした。  2001年6月に出版された『富士を眺める山歩き』(山村正光著、毎日新聞社発行)を読んで、ああそういうことか、と納得させられた。  著者は、富士山を「貧乏山」と呼び、広大な富士山の裾野で暮らす山梨の人たちに、富士山は何のメリットもなく、どんな思いで富士山と接していたのかを紹介している。  『あの山の反対側は、静岡の人たちは、南側で太陽をいっぱい浴びて、海では魚がとれ、作物も樹木も豊かだ。それに比べ、こちらの北側は何ともあわれだ。土地はやせ、作物はとれない。水も不便だ。日陰で寒くてかなわない。あの山は厄山だ。あの山のおかげで、オレたちは貧乏している。何が霊峰だ。三国一だ。あんな貧乏山は噴火でふっとんでしまえと、怨嗟の声の日々であった』(『富士を眺める山歩き』前文)  その後、交通の便がよくなって、観光で山梨県の富士五湖はじめの富士裾野に多くの都会の人たちがやってきた。富士山は「貧乏山」から「金儲け山」に変わった。5合目の観光施設、頂上まで続く数多くの山小屋、湖上に屋形船、ボートを浮かべ、食い物屋、お土産屋、旅館、ホテル、別荘と無計画に際限のない商売が始まった。いままでの「貧乏」をすべて取り返す勢いだった。  だから、世界遺産指定は商売の邪魔になる。観光業者だけでなく行政も反対に回った。その後、「環境保全」が時代のすう勢となり、世界「文化」遺産ならば、非常に緩い規制で「称号」を得ることができる、我慢してくれ、と説得される。当然、世界遺産にふさわしい規制強化は絶対反対である(一番分かりやすいのはオーバーユースを抑える「入山規制」)。山梨に住む人たちの生活から、自分たちとは全く違うことを実感した。  リニア計画でも山梨、長野の人たちは早期の実現を望んでいる。そんな思いにどのようにこたえるのか、東海道新幹線の便利さを享受してきた静岡県民はそろそろ考えたほうがいいと、伊藤さんは「日本の経済成長のために、リニア沿線自治体と共同歩調を取ってほしい」と書いた。実際は、「貧乏山」の山梨、長野、岐阜など沿線各県はリニアによる経済成長に期待する。  静岡新聞記者はわざわざ山梨、長野などへ行くのならば、そのような声にちゃんと耳を傾けるべきだった。 熱海土砂災害の議会答弁に立たなかったのは?  30日の県議会一般質問に土砂災害に遭った熱海市の藤曲敬宏県議が立った。質問の(1)行方不明者の捜索と被災地域の安全・安心の確保については、県警本部長が答えた。(2)伊豆山地区の二次災害の発生防止と社会インフラの復旧には川勝平太知事、(3)避難所から仮設住宅への早期移転には出野勉副知事が回答。(4)被災地熱海の行政サービス継続に向けた人的支援には、危機管理部長、(5)熱海観光地の復興に向けた取り組みは、スポーツ・文化観光部長がそれぞれ答えた。川勝知事はじめ、それぞれ簡潔だが、的確に答えていた。質疑、5人の回答などすべて合わせて約30分だった。  はて、今回の熱海土砂災害対応の中心となった難波喬司副知事は現地に緊急に赴いて、議会を欠席したのか?そんなことはなかった。当局の一番前に座っていた。なぜ、難波氏が答弁に立たなかったのか?  7日(2時間半)、8日(30分)、4日(2時間20分)、13日(2時間20分)、14日(3時間20分)、15日(1時間10分)に記者会見を行った。カッコ内は、難波氏の会見時間であり、周囲には難波氏ひとりが熱海土砂災害の対応に当たっている印象を与えた。難波氏は、「盛り土」崩壊のメカニズムがほぼ分かったとして、2次災害の発生防止、風評被害の防止を主眼として説明を行い、記者の質問に詳しく答えた。ところが、大胆な「仮定」に基づく、推論あるいは推定であり、「断定」は少なかった。これでは記事にならないから、記者たちの評判は悪かった。ただ、何時間も掛けて会見をやっているから、遠く離れた東京のメディアによる難波氏の評価は上がった。  内容の点で唯一、評価できたのは、県リニア会議の塩坂邦雄専門部会委員のプレス発表が、「誤り」であり、「不適切」と「断定」したことだった。ところが、その後、塩坂氏の名誉を傷つけたとして難波氏は”珍妙”な謝罪をした。塩坂氏のプレス発表が風評被害を招くと「断定」したのに、名誉を傷つけた謝罪の理由はいまだ不可解である。  連日にわたる長時間の会見について、難波氏は「担当部長が会見すべきかもしれないが、土木技術者であり、わたしの専門分野である」などと述べ、なぜ、副知事が会見を担当するのかを明らかにした。ところが、そうなると、県議会で答弁に立たなかった理由はおかしくなる。知事よりも難波氏は専門家であるのだから、二次災害発生防止等について、わかりやく議員に説明すべきだった。  崩壊メカニズムの推論は、メディアに任せて、行政はすべての行方不明者の捜索が終えたあと、「断定」のための調査に入ればいいのだ。さらに重要なのは、県内の不適切な「盛り土」をチェックして、再発防止に当たるべきだろう。  今回の知事らの答弁を聞いていて、十分、分かりやすかった。「仮定」に基づいた推論を行うことよりも、県民(記者)が求めていたのは、県議会で行った担当部長らの答弁だろう。  難波氏の記者会見と知事らの県議会答弁にも、難波氏による「ダブルスタンダード」が見えてくる。 「科学的根拠が分かっていない」のは?  難波氏は26日の「大井川の清流を守る研究協議会」(流域10市町の首長と議長で構成)の会合(非公開)に出席、会合後の囲み取材の様子が静岡、中日の2紙に報道された。  静岡新聞の報道では『難波副知事が問題視したのは、JR東海の金子慎社長が記者会見でトンネル湧水が県外に流出しても中下流域の水利用に支障がないなどと発言した点。「(同社の)トップが科学的根拠を分かっていないのに『影響がない』と言い切っている」と批判した。  社長の発言の根源には同社の企業体質があるとの見方も示し、「組織文化が変わらない限り対話は進まない。説明を変えないといつまでたっても解決しない」と断言した。』。ここでは「推論」ではなく、「断言」したようだ。  金子社長は単に、国の有識者会議の中間報告案を述べたにすぎない。国の有識者会議の結論は、「トンネル湧水が県外に流出しても中下流域の水利用に支障がない」となるはずだ。難波発言は中下流域の首長らに向けての発言かもしれないが、『科学的根拠を分かっていない』のは難波氏ということになってしまう。なぜ、JR東海の企業体質、組織文化批判になるのか、これは為にする発言でしかない。  実際の落としどころをどこにするかなど政治的な問題は、川勝知事が決めればいい。難波氏がこのような発言をしてしまえば、科学的、工学的に議論する国の有識者会議をないがしろにすることであり、熱海土砂災害対応で「専門家」と称すること自体が疑わしくなる。  いずれにしても、難波氏の発言を聞くと、熱海土砂災害とリニアの「ダブルスタンダード」対応がはっきりとわかる。『県民を肩身がせまい思いから解放してほしい』という声にちゃんと向き合うべきだ。  ※タイトル写真は、熱海土砂災害対応で答弁する川勝知事