静岡県立病院へ「患者」として批判

県立病院から「410円」請求の督促状

 静岡県立総合病院機構からの請求「410円」が3月末に時効になる。5年前、突然「督促状」をもらい、期日までに指定銀行に振り込めという内容。この「督促状」をもらうまでの経緯を記して、田中一成院長宛に質問状を送付した。督促状を送ってきた東京の弁護士事務所へも連絡した。「期日までに支払わなければ、法的手段をとることがある」と記されていたが、その後「410円」について何も言ってきていない。病院ではどのように処理したのだろうか?

100円と150円が隣り合ったコーヒーメーカー

 先日、コンビニで100円のコーヒーカップで150円のカフェオレを飲んだ62歳の男が窃盗の疑いで逮捕された。「50円」をごまかしただけだから、「一罰百戒」の見せしめの要素が強いのだろうが、「50円」でも逮捕されるならば、「410円」不払いは金額的に問題は大きい。病院からの督促状を受け取ったときの驚きが大きいから、現在まで、その書面をちゃんと保存している。ぜひ、病院には「法的手段をとる」ことを奨める。そうすれば、「410円」問題が明らかになるだろう。

検査ミスで田中院長が頭を下げる

田中院長が頭を下げた記事、写真を掲載した毎日新聞

 2月8日に田中院長が県庁で記者会見、「糖尿病検査判定にミスがあった」と謝罪した。報道によると、調査中だが、実質的な影響はほぼなかったらしい。ただ、6年間にわたり人数が多かったとして検査部長を戒告、田中院長らを訓告処分したという。田中院長をはじめとした病院幹部らが頭を下げているニュースにやはり驚いた。実質的な影響がない病院内のミスを「ヒヤリハット」と呼ぶが、こんなことで病院のトップが頭を下げるのならば、毎日謝罪を繰り返さなければならないかもしれない。

 10年ほど前、大阪で開かれた「日本臨床麻酔科学会」シンポジウムにパネラーとして出席、「これからは医療過誤が増えるのではなく、医療過誤訴訟が増えていく。麻酔科医の役割はますます重要になる」と発言をした。当時、司法制度改革で約2万人の弁護士を大幅に増やし、米国並みに弁護士の活躍する社会を目指そうとしていた。弁護士が増えれば、医療過誤訴訟が増えるのは、米国の訴訟事情を見ればわかるからだ。

 2006年5月、浜松医大病院で手術を受けた88歳の女性が病院と医者を相手取って「7100万円」の損害賠償を請求する裁判があり、地裁浜松支部は医者の「説明義務違反」を認め、「110万円を支払え」という判決を出した。インフォームドコンセント(医者の十分な説明と患者の同意)についても、医療過誤訴訟が成り立つ。病院内で、患者が滑って転んでけがするなど、どんなことでも訴訟になる可能性が高い。

 病院のトップが本当に頭を下げるのはどんなときだろうか?

県立病院による入院拒否の理由

 2013年11月19日、母(88歳)の肺に水がたまっているので、県立総合病院呼吸器内科で診てもらった。母を連れて行った施設職員から「呼吸器内科では肺炎などの症状はなく、循環器科へ回された。診察結果は家族にしか話ができない」と連絡を受けた。「考えられる最善の治療をしてもらうよう医師に話してほしい」と求めたが、医師は母への治療、処方は全くせずに施設へ戻された。

病院から呼び出されたが、1時間以上も待たされた循環器内科

 翌日午後病院に出向き、M循環器内科医から「心臓が弱っていて、このまま行けばいずれ心臓は停止する。その場合、救命措置をとるかどうか」と聞かれた。「看取りに対して、心臓マッサージなどの救命措置は望まない」と答えたが、朝面会した母の調子はそれほど悪くは見えなかったので、M医師に処方を求めた。不在の母は再診となり、処方箋が出され、近くの薬局で利尿剤を購入した。

 2日たっても利尿剤の効果がないので、看護師から点滴での薬剤投与ができる病院へ搬送すべきではないか、と提案された。わたしは即座に同意、県立総合病院へ連絡してもらった。M医師は「家族は救命措置を取らない」とのことで受け入れを拒否した。このため、22日夕方、静岡済生会病院へ救急搬送してもらい、点滴投与を受けると、母は回復、両側下肢の浮腫はなくなり、胸水も引き、30日に退院した。その後、母は老衰で90歳で亡くなるまで、心不全の症状を訴えることはなかった。

診療部と検査部の連絡体制に疑問

 田中院長への質問は以下の通りである。

 1、患者は症状の改善を求めて病院を受診したのに、治療を全く行なわないのは患者の良質の医療を受ける権利を損なう。治療を行わなかった理由は?

 2、入院を求めたが、医師は家族に話したからと言って入院を拒否した。病院、医師はすべての患者を受け入れる義務がある。良質の医療を受ける権利が損なわれた理由は?

 3、今回の督促状の内容(細菌培養同定検査)は呼吸器内科医から送られた診療情報提供書に記載はなく、わたしが循環器内科医に病状を聞いたときにも説明を受けていない。医師からの納得のいく説明と情報提供を受ける権利が損なわれた理由は?

 母の症状はみるみる回復したため、入院拒否された県立総合病院に不満を持ったが、その時点で質問をする気はなかった。ところが、突然「督促状」を受け取った。それ以前に請求書を受け取ってもいない。どういうわけか、督促状だけが届いたのである。いくら「410円」でもびっくりする。それとともに、医師は即座に「心不全」と診断したのに、細菌培養同定検査をストップしないのはなぜか?診療部門の連絡が悪いのか?検査部へ連絡が届かないのか?多分、このような問題は日常茶飯に起きているのだろう。

 院長は同じように頭を下げるのか?

院長ではなく医事課補佐の回答

 田中院長宛に送った質問状は、院長ではなく、医事課長補佐(氏のみで名前はない)から回答が送られてきた。回答書には、19日は軽度だったので治療は行わなかった。20日にわたしの来訪に合わせて、利尿剤を処方したから、治療は行った。また入院拒否ではなく、施設の主治医(脳神経外科医)に任せたのだとある。

 なぜ、この話を蒸し返しているのか?

 「県民の健康寿命延伸」を目的に県立病院に社会健康医学大学院大学を設置するのが、静岡県の優先施策なのか疑問だからだ。静岡県に必要なのは、基礎医学に取り組む研究者ではなく、優秀な臨床医である。特に、県中部の医師不足は大きな問題である。臨床研究部長(循環器内科医)が川根本町で緑茶調査するほどに、県立病院では若手医師の多くに任せて大丈夫なのか。

 当時の医事課補佐に取材したところ、「わたしは医師の言われた通りに書いたのであって、中身は関知していない。職務として問題はない」と言っていた。多分、このような回答では、臨床部門と検査部の連絡体制などこれからも大きな問題となるだろう。

 県立病院では年間5百万円超の未払いがあるそうだ。わたしの「410円」は氷山の一角であり、本当に医師の資質を疑うような不満、医療コンフリクト(対立)の問題、医療過誤を招くヒヤリハットは起きていないのかチェックすべきではないか。そのような調査を行ったとき、最優先する施策が何かはっきりするはずだ。

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