よくわかる銀行ー豚の貯金箱との違いは?

20万円では利子のつかない時代

  タイトル写真は、小学校高学年から中学生を対象にしたPHP研究所「よくわかる銀行」(2018年2月時点の情報)の「貯金箱と銀行の違いは?」に使われた図で、「銀行の口座に預金してお金をふやすことを『貯蓄』といいます」と説明されていた。

 果たして、この図は正しいのか?

静岡銀行のATM

 先日静岡銀行呉服町支店へ行き、NPO法人の普通預金通帳に記帳しようとした。2度やっても「取引はありません」と表示。2018年2月から記帳していない。「休眠口座」の制度が始まった。毎年1回通帳記帳すれば、取引をしたことになるのだろう。ATMに通帳を通せば、利息が印字され取引成立のはずだ。それなのに3度目の正直でも「取引はありません」という画面。約20万円も残高があるのに、利子がつかないはずがない。そう考えて、窓口へ行った。

 説明によると、普通預金金利0.001%だから10万円あれば、1年間の利子は1円。ところが、利子は半年ごと(2月、8月)2回つくから、利子も半分になるという。半年ごとの20万円の利子計算は次の通り。

 20万円×0.001%×半年(1/2)=1円

 しかし、これでも1円の利息はつかない。税金が20.315%掛かるから、税引き後1円ではなく、80銭弱となる。銀行利子は1円以上だから、80銭では利子はつかなくなると説明。つまり、20万円の普通預金では利子がつかなくなる。計算では、残高25万円以上ないと利子1円さえ獲得できない。(25万円の場合、半年ごとに1円、年利2円)

 ちょっと複雑だが、こんな簡単なことさえ知らなかった。

銀行は預金者の味方か?

 それで静岡市立図書館へ行って、「お金」「銀行」を書名に入れて調べると、300冊以上がヒットした。その中から、なるべく簡単な子供向けに書かれた最近の本を探した。「よくわかる銀行」(PHP研究所)「池上彰のはじめてのお金の教科書」(幻冬舎)「新しい時代のお金の教科書」(ちくまプリマー新書)の3冊を借りた。

 そこで、タイトル写真に使った「よくわかる銀行」の「貯金箱と銀行のちがいは?」の図に出くわした。10000円を銀行に預けると、1年後には10001円(金利が年0.01%の場合)。普通預金(年利0.001%)ではなく、一般的な定期預金なのだろう。ただ、定期預金でも税金は掛かるのだから、この場合、1円を獲得できないはずだ。静岡銀行で聞いたことが事実ならば、1万円の定期預金では金利1円はつかない。PHP編集部に連絡を入れた。

 それに対して、担当者は「税法では、1円未満の端数は税金が掛からないことになっている。だから、1円の利子はそのまま預金者が受け取るはずだ」と説明。約20%の税金も預金者に代わって、銀行が支払っているにすぎない。その税金が掛からないのならば、1円はそのまま預金者の所得になるという論理だ。銀行の説明が違っているのか?

 それで、都市銀行の三菱UFJ銀行静岡支店に確かめた。担当者によると、1円の利息は80銭弱、税金は約20銭で両方とも端数になり、端数は切り捨てることになる。つまり、静岡銀行と同じで1万円の定期預金では1円はつかないことになる。1万3千円の定期預金でないと、1円はつかないわけだ。PHP担当者の「預金者の利益」となる説明通りにはいかず、「銀行の論理」が優先する。つまり、利子はつかないから、豚の貯金箱も銀行口座も同じというわけで、「よくわかる銀行」の図は間違っている。

 普通預金だと、ようやく25万円で1円、100万円で約8円、1千万円で約80円。本当に本当か?と目を疑いたくなる。1千万円を預けて、たったの年80円。それに比べて、ATM時間外(PM6時以降、AM9時まで)手数料は108円だから、1千万円の利子よりも手数料のほうが高いことになる。

 お金をふやす「利子」の面だけを見れば、豚の貯金箱と銀行は同じだ、というわけだ。

0.35%もの高金利の銀行とは

 利子をふやしたい場合、どうするのか?

実店舗では高金利の横浜幸銀

 静岡市内でいま、最も金利の高い定期預金を出しているのは、横浜幸銀信用組合静岡支店(静岡市葵区黒金町)のファースト定期預金(3月29日まで。5年間、年利0.35%、税引き後0.280%)。ちょうど、知人から百万円の定期預金が満期になるが、高金利のところはないか聞かれ、紹介した。100万円で利息年3500円。一般的な定期預金金利(0.01%、利息年100円)に比べると、35倍ものずば抜けて高い金利だ。

 その話を友人にしたあと、ネット銀行(通帳はなくカードのみで、スマホなどで取引)のソニー銀行を調べてみた。ソニーのキャンペーンは、紹介者に1500円、100万円預け、条件さえ満たさば4千円を翌々月にプレゼントするという。さらに、カードを2カ月間コンビニなどで5回使えば、1千円をプレゼント、合計5千円が3カ月後に預金者の口座に入ってくる。横浜幸銀に1年間預けるよりも、2倍近くの現金が3カ月間で稼げる。

 ドル預金の金利は2.2%。1ドル111円として計算すれば、100万円の預金で1年後に約1万7000円の金利(為替手数料15銭)。為替リスクをちゃんと頭に入れて取引できれば、はるかに高い金利を得る。最初横浜幸銀に行こうかと迷った友人は、結局、最初から5千円得になるソニーを選んだ。

 PHP研究所「よくわかる銀行」のサブタイトルは「仕事の内容から社会とのかかわりまで」。それでは、図に書かれたような預金者の1円(約20銭が税金、約80銭が利子)はどこに行ってしまったのか?子供のときから、正確な情報を与えなければ、わたしたちと銀行のかかわりはとうてい理解できない。

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