リニア騒動の真相24川勝知事「闘い」の理由

知事、副知事と一緒に雑誌発刊の記念写真

 11月27日、出来上がったばかりの雑誌静岡人vol4「JR東海リニア南アルプストンネル計画 なぜ、川勝知事は闘うのか?」(定価1000円)を川勝平太知事に持参しました。

 午後1時の知事面会前に、リニア問題を統括する静岡県環境保全連絡会議本部長の難波喬司副知事、副本部長の吉林章仁副知事に雑誌を手渡しました。難波副知事は12月3日に掛川市で「水について考えるシンポジウム」に出席するので、その席で雑誌を宣伝してくれるとのことでした。書店が非常に少なくなっているだけに、雑誌の売れ行きは気になるところ。ぜひ、多くの方たちに手に取ってほしい気持ちを分かってもらえていました。(※掛川市生涯学習センターで行われるシンポジウムに難波副知事は「リニア中央新幹線建設に係る大井川水問題の現状・静岡県の対応」について基調講演、そのあと松井三郎市長がコーディネーターとなり、「掛川の水について考える」をテーマにしたパネルディスカッションにも参加する)

 吉林副知事はリニア問題ではなく、特集「川勝VS田辺 静岡市歴史文化施設」を指さして、「この問題も特集したの?」と驚いていました。吉林副知事には、「川勝VS田辺」となっていますが、知事、市長の対立をあおっているのではなく、両者の連携を探るのが、この特集の真意ですと説明しました。田辺信宏静岡市長の最優先課題「静岡市歴史文化施設」。駿府城天守台跡発掘についての利活用が決まっていないのに、全く別の内容の施設建設を急ぐことに川勝知事は「二重投資」と厳しく批判しています。実際に、「歴史文化施設」建設は中止すべきです。

 駿府城跡発掘で、家康の駿府城天守台、中村一氏関連の驚くべき発見が続いています。もう一つ、今川義元関連の遺跡がその隣で発掘された事実を忘れています。今川氏の貴重な文化財が駿府城公園で発見されたことを40年前、記者会見した小和田哲男・静岡大学名誉教授はよく知っています。川勝知事、田辺市長が連携して、徳川、今川の2つの時代の遺跡を生かす方策を見出してほしいのです。全国を見回しても、そんな貴重な文化遺産を一堂に観光できる場所などありません。世界的な観光名所になるはず。「連携」がキーワードです。

ド派手な表紙が目立ちます

 さあ、川勝知事です。雑誌発刊前に、出来上がった表紙を秘書課長に預けました。表紙だけを見れば、知事の写真、文字の大きさ、色彩などド派手な体裁です。秘書課長から電話で、知事はこのような表紙は本意ではないとの意見をもらったと話していまし。まさか、雑誌を持参して、知事から怒られるのでは、と気が気ではありませんでした。

川勝知事に雑誌発刊の意図を説明

 雑誌「巻頭言」で、「全量戻してもらう。これは県民の生死に関わること」という川勝知事の”名言”を取り上げ、こんなかっこういい発言をした知事はこれまでいなかったことが、ニュースサイトを立ち上げるきっかけとなり、今回の雑誌発刊まで決めたことを説明。SNSばやりで活字離れが進み、どう考えても雑誌の売れ行きは芳しいものではないでしょう。雑誌取次、書店など関係者から、なるべく派手に、目立つものでなければ、来店者の目に入らない、一度も手に取らないのでは、という意見を聞いて、ド派手な表紙にしてもらえるようデザイナーに依頼しました。(※10年前「久能山東照宮」特集号を発刊したときに比べて、書店の数は半減、いずれ書店も街から消えてなくなるのでしょうか)

 7つの謎のうち、「川勝平太の謎」が知事インタビューをもとにした最も重要なテーマです。と言っても、知事はどのように決着すべきかをはっきりと話していません。「(JR東海は)誠意を示すことが大事」。それだけです。この発言の真意を探るために、東京、島田へ出掛けました。(具体的な内容については、雑誌をご覧ください)

 知事にとっては、リニア問題はさまざまな政策課題のうちの一つであり、リニア問題ばかりに集中しているわけではないでしょう。ですが、知事発言のひとつ、ひとつが全国からの注目を集めています。「リニア騒動の真相23鈴木知事『事実無根』の真実」は、三重県の鈴木英敬知事「事実無根」発言が本来の意味とはかけ離れ、本人でしか分からない意味で使っていることを紹介しました。そんな事情を知らない川勝知事は「嘘つきは泥棒の始まり」と厳しく鈴木知事を批判、その批判を「うそつき非難」の見出しで共同通信が全国に配信しました。

官邸に近いとされる鈴木三重県知事が菅官房長官に陳情(「リニア騒動の真相23」のタイトル写真=鈴木知事のブログから)

 「リニア騒動の真相23」記事の中で、『11月1日に放映されたNHK名古屋の番組「ナビゲーション」で、鈴木知事がリニア開業は2033年伊勢神宮の式年遷宮に間に合わせてほしいとする発言をアナウンサーが言ったのを川勝知事が聞いた、としている。(※複雑な言い方になったのはあくまで川勝知事の発言であり、この番組を見ていないから詳細不明)』と書いたのですが、当日、川勝知事からNHKナビゲーションのアナウンサー発言として「三重県の鈴木知事は『20年ごとに行われる伊勢神宮の式年遷宮が行われる2033年に間に合わせるくらいの意気込みで最大限取り組んでいく』としています。」という番組内容を紹介したペーパーを手渡されました。川勝知事らしく非常に律儀な気の使い方でした。

 雑誌を読んでいただき、多くの静岡県民にリニアをより深く理解するために推薦してほしいとお願いしました。

川根本町長、掛川、島田両市長にも贈呈

 26日川根本町から、29日の鈴木敏夫町長の日程を開けてあるので来町してほしいとの連絡をもらいました。大井川流域市町へも連絡を入れ、首長の日程調整をお願いしました。29日午後1時で掛川市から松井三郎市長の日程を入れてもらい、29日午後2時半で、島田市から染谷絹代市長の日程を入れてもらいました。

 静岡市から川根本町へ国道77号を走らせると、山間は秋色に染まり、絶好のドライブ日和となりました。大井川に沿う山々は何と美しい色合いを持ち、七色の変化に富んだ景色がつづきました。

 今回のリニア騒動で、川根本町は大井川下流域の利水者に当たりません。下流域の市町に大井川の水を供給するため、山々の森を守る立場にあります。だからこそ、リニアトンネルによって自然環境が損なわれることに強い危機意識を有しています。「7つの謎」のうち、最後の「光岩の謎 光岳を世界遺産にしよう!」は川根本町に関係した”大きな謎”です。

 富士山の世界遺産運動に携わったとき、世界自然遺産にあてはまるのか、最初にその登録基準が問題になりました。1992年9月、日本政府が世界遺産条約を批准して、政府は最初から「富士山」を有力な候補としていました。登録基準に「顕著な特徴の地質学的又は地形学的形成物」(自然遺産登録基準①)、「類例を見ない自然の美しさ」(自然遺産登録基準③)に当てはめようとしましたが、さまざまな理由で自然遺産では登録できないことがわかり、「文化的景観」という文化遺産の新しい登録基準を追求することになりました。いずれにしても、自然遺産での登録はハードルが非常に高いのです。

川勝知事の応援団を自認する鈴木町長(川根本町庁舎)

 光岳周辺1115㌶は「原生自然環境保全地域」を核に、その周辺を含めた3055㌶が「森林生態系保護地域」であり、保護、保全では十分に機能しています。登録基準も「フォッサマグナ」に隣接する中央構造線、糸魚川静岡構造線という特異な地質、地形を有し、また、北半球最南端のライチョウ、ヤマトイワナ、チョウノスケソウ、ハイマツなど絶滅の恐れのある貴重な種の宝庫でもあります。鈴木町長からは「全国5カ所の原生自然環境保全地域のうち、3カ所が世界遺産であり、光岳周辺も世界遺産にふさわしい」など世界遺産に乗り気の発言をされ、早速、環境省に取材することを約束しました。

松井市長も相変わらずお元気でした

 掛川市役所の食堂で松井市長と偶然出会い、午後1時の約束を30分も前倒しにしてもらい、約1時間、掛川市の事情を聴くことができました。90%の上水道を大井川に頼っている掛川市にとって、水問題をないがしろにはできない、リニア南アルプストンネルの影響が50年後に起きないとも限らない、そのときにどのような対応をJR東海がするのか、いまちゃんとしておかなければならないのだ、という熱い思いを聞いていました。「一定の信頼関係がJR東海とは持てていない。金子慎社長が地元と話し合いをしたいという気持ちが本心なのか分からない」などと話していました。

島田市民にも読んでほしいと染谷市長にお願いしました

 染谷市長とは、30分という短い時間でしたが、島田市の抱えるテーマについて、初めて聞くことばかりでびっくりさせられました。毎年、大井川源流部を訪ね、川勝知事が水問題を提起する前から、JR東海の考え方に隔たりがあったのだと言います。大井川の水の保障を求めるのだという姿勢に変わりはない。地域振興の中で、新幹線静岡空港新駅の考え方には静岡県とは相容れないものがあるようでした。静岡市の安倍川(約52キロ)とは違い、約168キロという長大な大井川には事情の違う流域の自治体があり、それぞれが個別の問題に直面しているようです。

 静岡県が利水団体の代表としてJR東海、国との協議に当たっていて、一致団結の自治体ですが、それぞれ事情が違い、その「温度差」を痛感できました。

 袋井、菊川、御前崎、牧之原、藤枝、焼津、吉田の7市町長とも個別に面会して、それぞれの考えを聞くことで、リニア騒動の別の面がはっきりと見えてくることは間違いないでしょう。

科学者たちはリニア問題を解決しない?

 染谷市長から、専門家はそれぞれの科学的な立場で意見を述べることができても、この問題を解決に導くための主張をすることはないという趣旨の発言がありました。

 今回の雑誌では、『「氷が溶ける」南極大陸』で地球温暖化の原因について考えてみました。地球温暖化の原因に二酸化炭素による「温室効果」が通説になっていますが、塵や二酸化炭素の影響ではなく、間氷期における当然な温暖化現象と見る科学者も多いようです。1980年代に最高気温の記録が次々に塗り替えられたのはセントへレンズ火山の噴火のあとであり、火山噴火が地球に及ぼす影響は二酸化炭素などの影響に比べて、類を見ない深刻なものになりうると唱える科学者も多いのです。単なる地球環境の変化ととらえています。その変化を助長するのが、「人間」であることに間違いありません。

 日本の人口減少とは対照的に、世界の人口は1995年に56億人から増加の一途をたどり、2019年77億人、2030年85億人、2050年97億人、2060年に100億人を突破します。急激な人口増加はさまざまな資源の無秩序な利用につながり、当然二酸化炭素の増加は避けられません。膨張していく人口を支える食糧だけでなく、車やスマホなどが必需品となる未来では二酸化炭素を抑えることが本当に可能かどうか。スウェーデンの少女グレタが大人たちは無策だと唱える解決策の向こうにはっきりと見えるのは、自分たち自身です。地球環境の敵は「人間」以外の何ものでもなく、二酸化炭素を抑えるためには人口を減らすしかありません。

 科学者たちの意見は立場によって違い、静岡県、JR東海のそれぞれの立場にたつ科学者たちの意見も同様であり、いつまでも行っても同意を得られることはありません。「政治決着」とはそのようなときに使うことばでしょうか。いずれにしても、どのような解決があるのか、流域自治体の首長の意見に耳を傾けたいと思います。

 ※「リニア騒動の真相」とありますが、今回はまさしく、雑誌静岡人発刊PRで、『川勝知事の「闘う」理由』も雑誌静岡人に掲載されています。ぜひ、多くの方たちに読んでいただきたく、書店で手に取ってみてください。

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