リニア騒動の真相86”毎日新聞”終焉の行方?

「リニア静岡工区の行方」の講演会

  東洋経済オンライン6月1日付『静岡県知事選、「リニア」が争点にならない理由』、6日付静岡経済新聞『リニア騒動の真相84これでは川勝圧勝だ!』で、川勝平太氏が圧倒的に有利な情勢を伝えたのに続いて、13日から新聞、テレビ各社は電話やインターネット調査を基に、川勝氏がリードするとの予測を報道した。すべてのメディアが約3割は決めていないという全く同じフレーズで、川勝リードの予測したのにはびっくりした。きょう20日は投票日だが、大勢は決まったのだ。

 20日午後8時の開票に合わせて、テレビ(特番を打つ局もある)、新聞社のネット報道は開票の速報を行う。選挙管理委員会の開票を待つのではなく、川勝氏にどれだけ早く、「当確」を打つことができるかに関心が集まっている。県内の主要投票所での「出口調査」の情報を基に、午後8時の開票と同時に「当確」を打つ可能性が高い、という。

 自民党推薦の岩井茂樹氏が大きく出遅れ、劣勢を盛り返せなかった理由等は、『これでは川勝圧勝だ!』でも解説したように、岩井氏がリニア問題から逃げたとともに、有権者を是が非でも投票に向かわせようという具体的な”公約”を打ち出すことができなかったからである。(※一部週刊誌が報じた秘書暴行疑惑など岩井氏の暗いイメージが影響しているという意見も多かった)

 一方、川勝氏はリニア、リニアを連呼して、「命の水を守る」「南アルプスの自然環境を守る」と訴え、反「リニア」を中心とする環境保全派の有権者たちの圧倒的な支持を得るのに成功した。

 川勝氏の4期目に当たっての抱負等は、選挙戦の訴えと変わりないだろう。ただ、リニア、リニアを連呼した川勝県政の「リニア静岡工区の行方」は何よりも気になるところだ。本当に、今後4年間、川勝氏はリニア工事の着工を凍結してしまうのか?

 そんな関心を察知したのか、静岡県の毎日新聞販売店会の江崎新聞店は”毎日大学”と銘打った講演会を静岡市で開いた。投票日の前日、19日にまさしく「リニア静岡工区の行方」と題した講演会を開催、講師は、県政担当の毎日新聞静岡支局記者。=タイトル写真はチラシ=

 この講演会は毎月1回開催の”毎日大学”の一環で、毎日新聞読者であれば、年間12回の講演会に参加でき、年会費は6000円。一般の参加は1回当たり1000円だから、半額ということだ。主催者によると、「リニア静岡工区の行方」には通常の講演会より聴衆が多く、約50人が詰め掛けた、という。残念ながら、講演会には参加できなかったが、毎日記者がリニア静岡工区の現状について、詳しく説明したのだろう。ただ、現状を説明できても、1年先、2年先の行方まで予測できたのかどうか?自分の会社のことを含めて、1年先の未来を予測するのは難しいからだ。

6月16日付毎日新聞1面

 毎日新聞は、16日付1面で7月1日からの購読料改定(月額4037円→4300円)を発表した。朝日新聞が同じく、7月1日から同4400円への購読料改定を行うので、2018年に同4300円に値上げしていた読売新聞に朝日、毎日が追随、新聞購読料は3紙がほぼ同じ金額となる。

 一番最後になった毎日新聞は、せっかく部数を伸ばす機会を得たのに、なぜ大幅な「値下げ」に踏み切らなかったのか、不思議でならない。新聞社以外の各企業は物価を抑え、1円でも安く売ろうという必死である。新聞社だけが、昭和時代に繰り返した”カルテル”を結んで、全社一斉の値上げという同じことをやっているのだ。4300円に値上げしたことで、多くの毎日読者が定期購読をやめる可能性が高い。

 スマホの普及などで紙媒体離れが進んでいる。だから、”毎日大学”のような読者参加型のサービスに新聞販売店が努めている。今回の値上げは、毎日新聞の終焉を早めてしまうかもしれない。

約2300万部の新聞部数が消えた

 ことし4月の静岡県内の新聞購読部数は、ABCレポートによると、静岡55万部、中日11万1千部、朝日6万3千部、読売5万8千部、日経4万7千部、毎日2万5千部、産経1万3千部、東京3千部(百部以下は切り捨て)だった。ただ、ABCレポートの部数は広告や折込チラシの料金に反映されているが、実数とはかけ離れている、という。

 昨年9月20日発行の週刊誌サンデー毎日に、ノンフィクション作家下山進氏が静岡新聞の大石剛社長(当時)をインタビューした記事では、『静岡新聞の最新の部数は51万部まで落ち込んでいる』と書いていた。半年以上も前の話だ。そこで大石社長はインタビューを受けた際、ABCレポートの数字ではない別の部数を答えたようだ。社長が4万部も少ない数字を教えているのだから、ABCレポートがあてにならないことくらい関係者はみな承知している。ただ、広告主や折込チラシの依頼者は、ABCレポートによって、新聞社、販売店から不当に高い料金を請求されている。この事実を知ったら、広告や折込チラシから離れてしまうだろう。

 静岡新聞が4万部も誤魔化しているとしたら、他紙も同じことをやっているだろう。

週刊ダイヤモンド2018年12月6日号の表紙

 2008年12月6日付週刊ダイヤモンドは『新聞・テレビ複合不況 崖っ縁に立つマスメディアの王者』という特集を組んだ。ちょうど、静岡空港問題が大きな騒ぎになっていたときだったので、『静岡空港開港延期!知事の政治責任は?』特集記事を同誌に寄せた。その記事の中で、地元メディアによる静岡空港推進の世論誘導を問題にした。たまたまABCレポートによる、県内各紙の部数を紹介している。

 いまから約13年前、静岡71万5千部、中日14万2千部、朝日10万6千部、読売9万2千部、日経7万3千部、毎日6万部、産経2万3千部だった。大石社長のインタビュー記事の”51万部”が正確ならば、静岡は20万部減少したことになる。

 他紙も3、4万程度の部数減となっている。毎日は3万5千部の減少だが、現在2万5千部だから、もし、このまま減少が続けば、いずれ、静岡県内で毎日は消えてなくなってしまう計算だ。それも、部数減少は加速度的に早くなっている。だから、1年、2年先の毎日新聞の行方はどうなっているのか、分からない。地方の限界集落同様に、地方の新聞が消えていく運命にあるようだ。

 毎日新聞社の河内孝・元常務取締役(営業・総合メディア担当)は2007年3月、『新聞社 破綻したビジネスモデル』(新潮新書)を発刊した。当時は、読売1千万部、朝日800万部などと喧伝され、新聞の総部数は5256万部を誇っていた。ことし3月時点の総部数は2966万部だから、14年たって2300万部減少した。

 河内氏が『破綻したビジネスモデル』と書いた当時、昭和時代に大儲けしたビジネスモデルの破綻を意味しただけで、実際には、当時でも新聞経営は他の業種に比べて、着実な利益を得ることが可能だった。それなのに、2007年だけでなく、翌年の2008年には週刊誌でも『崖っ縁に立つ』危機感をあおっていた。河内氏も書いているが、実際には新聞社の経営の中身は全く外に出ていないから、メディアとはいえ、新聞社の経営状況を分析のしようもなかっただけにすぎない。

 新聞部数同様に、新聞社の経営状況もすべて闇の中にある。

新聞社の究極の既得権とは?

 『日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社の株式の譲渡の制限等に関する法律』(略して、日刊新聞紙法)が1950年に制定されて以来、新聞社はどこからも買収されない、何があろうとも追及されない、事実上の独占経営ができるように国の権力によって守られている。これが新聞社経営が闇の中にある理由だ。

 先日、新型コロナウイルスの感染者数について『さざ波』、日本の緊急事態宣言について『屁みたいなもの』発言(ツイッター投稿)で内閣官房参与を辞職した高橋洋一嘉悦大学教授は、この日刊新聞紙法を「新聞社の究極の既得権」と批判している。『これが世界と日本経済の真実だ』(悟空出版)の中から、日刊新聞紙法を取り上げた週刊現代オンラインの現代ビジネスで、『新聞、テレビが絶対に報道しない「自分たちのスーパー既得権」』と題した記事を公開している。

 『まず日刊新聞紙法というのはどういう法律か。すごく変わっている法律で、実は世界にこんな法律は日本にしかない。ポイントは、新聞社は全国紙のすべてが株式会社で、地方紙も株式会社が多いのだが、その「株主が誰か」ということだ。

 商法の大原則だが、株式というのは譲渡制限がない。これは株式会社の株式会社たるゆえんと言える。譲渡制限がないからどんな時にもオーナーが代わり得る。この「オーナーが代わり得る」ということが重要だ。

 要するにオーナーはのうのうと安住できないということだ。そうすることで会社の緊張感が保たれ、きちんとした経営をするということになる。

 しかし新聞社の株式は、日刊新聞紙法によってなんと譲渡制限が設けられているのだ。』

 アマゾン創業者ジェフベゾス氏が、ワシントン・ポスト紙を買収したことが大きな話題となった。同紙はその後、デジタルファーストを掲げて、大変革を遂げた。アメリカの多くの地方紙が破綻している中で、買収による生き残りは、新聞業界では日常茶飯である。ところが、日本の場合、どんなことがあっても、他の業界からの買収はできない仕組みなのだという。

 『株式が譲渡されない安泰な経営のなかで、オーナーが口出しをすることがないので経営陣にはなんのプレッシャーもかからない。そうして経営トップが大きな顔し続けることになる。

 日経新聞などは企業の不祥事を追求する記事で「コーポレートガバナンスが重要」とよく書いているが、自分の会社が一番コーポレートガバナンスが利かないのだ。なぜなら、株式の譲渡制限があるからだ。それではガバナンスなど効きようがない。

 新聞社の株式が譲渡されないということは、つまり絶対に買収されない仕組みになっているということだ。さらに、その新聞社がテレビ局の株を持つ。朝日新聞ならテレビ朝日、読売新聞は日本テレビといった具合だ。そうすると、テレビも新聞社と同じようにまったくガバナンスが利かなくなる。

 そうして新聞社を頂点として構成されたメディアは、既得権の塊になってしまう。

 以上のような仕組みになっているため、一度新聞社の経営陣に加わってしまえば絶対安泰だ。クビになることはまずない。これは、他の業界では絶対にあり得ない既得権を守る規制なのだ。』(※『 』は高橋洋一氏の記事の引用です)

リニア問題解決or毎日新聞終焉はどちらが先か?

 今回の毎日新聞値上げの記事の中に、『人手不足に伴い新聞輸送・配達コストが増大していることなどから戸別配達網の維持が困難になりかねない事態になっている』などと値上げの理由を挙げている。

 新聞販売店の購読料の配分はほぼ50%だと言われる。新聞業界だけが専売店システムを設けて、毎日、読売、朝日のみを配達する。ただ、静岡新聞、日経新聞はそれぞれの専売店に配達してもらうから、こちらは合配と呼ばれる。部数が少なくなっているのだから、すべての新聞を配達するほうがずっと合理的で人件費等も安く済むはずだ。これも昭和時代が続いているのか、あくまでも専売店システムを崩さないようだ。

 部数から言えば、江崎新聞店の経営は、毎日新聞ではなく、合配の静岡新聞で成り立っているようだ。静岡新聞社史には、1964年日曜日の夕刊廃止に伴い、他紙が値上げした際、大幅な値下げに踏み切った、と書かれている。そこから、静岡新聞の部数は大幅上昇に転じたのだという。いまから見れば、あまりに常識的な手法だが、当時は業界のルールに背いたことになり、静岡新聞は業界の”嫌われ者”となってしまう。

 朝日、毎日、読売を読んでも、静岡県の話題はほぼ同じである。静岡県庁からの発表記事をそのままに書いている場合が多いからだ。これもアメリカの新聞などと全く違う。だから、毎日新聞が消えてなくなっても、静岡県民は誰も困らない。

 本当に、『リニア静岡工区の行方』をちゃんと取材できて、紙面に紹介できるのならば、毎日新聞の価値があるかもしれない。残念ながら、いずれ、毎日新聞の一般読者は静岡県内ではゼロになる確率が高い。

 大井川流域の自治体首長が、これから2年後までにリニア問題は解決すると予測した。なぜか?さて、誰がどのように解決するのか楽しみである。

※20日15時半過ぎにアップしました。これから4時間半後に開票が始まります。

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