「本人訴訟」入門⑤「答弁書」が来た!

補正しなければ、訴えは却下?

 7月3日、T弁護士から「答弁書」が届いた。中身を読んで驚いた。最初、何が書いてあるのかよく理解できなかったからだ。「弁護士先生」が登場するというのは、多分、こういうことなのだろうとだけ理解できた。

 「答弁書」を想定して、本人訴訟に関するいくつかのマニュアル本を読んで、「答弁書」の知識を得た。特に、名誉棄損で裁判を争い、マスメディア相手に1億数千万円の損害賠償金、和解金を勝ち取り、「本人訴訟」を一躍有名にさせた三浦和義著『弁護士いらず』(太田出版)は懇切丁寧に説明していた。

 最高裁のHP「裁判所」でも答弁書を、『訴状等に記載された「請求の趣旨」及び「請求の原因」の項目のひとつひとつについて、認めるか否か、反論や希望があれば、それも記載する』と説明する。マニュアル本は、この説明通りに、「答弁書」の書き方などを教えていた。

 一番の肝は、「原告の請求を棄却する」「訴訟費用は原告の負担とする」など被告の主張(否認、認める、不知)をはっきりと明示することだ。その上で、否認する場合など、相手の主張のひとつひとつに反論の具体的な理由を記載していく。 

 ところが、T弁護士の「答弁書」はマニュアル本と全く違い、被告の主張(当然、否認である)以前の問題で、『訴状の補正を求める』から始まっていた。訴状が補正されなければ、民事訴訟法133条2項(ウエブで調べると、「訴えの提起前における照会に関する」条項とある)に違反しているという。補正しなければ、裁判長は命令で訴状を却下しなければならない規定の民事訴訟法137条2項に基づき、「却下されるべき」と脅している。ここまでくると、”素人”には全く分からない。

 まず最初に書いてあった「被告Kは自然人であるから個人であることは明らか」から意味不明だった。調べると、「自然人」は法律用語で、生まれてから亡くなるまで完全な権利能力を認められる主体(個人)。民法では法人に対する個人を指すのだという。

 管理組合の住所が、わたしの部屋番号のついた住所では、当事者の原告が「自然人(個人)」なのか「法人(組合)」なのか不分明だから、「訴状の不備は看過できない」とT弁護士は怒っている。7世帯しかないマンションに管理組合用の部屋も郵便ポストもないから、すべての郵便物などは理事長の住所がそのまま管理組合の住所として通用している。T弁護士は、それではダメだと言っている。

 管理組合がわたしの個人住所になっていることで、原告の主体が「自然人(個人)」なのか「法人(組合)」(管理組合は人格なき社団、みなし法人)なのか不分明と言うのだ。地番だけでは部屋番号のない郵便物はどこかへ行ってしまうという現実的な問題ではなく、訴状の体裁としてT弁護士には看過できないのだ。

 裁判という法律の世界に未熟な”素人”が入ってきたから、まずは、「弁護士先生」が上から目線でご高説を垂れているように見える。こんな重箱の隅をつつくのが「弁護士先生」の仕事かもしれない。

 また、「答弁書」は、「アクシス91管理組合」が、わたしの訴状では「アクシス91マンション管理組合」とあり、どちらの名称が正しいのか明示すべきだと指摘している。わたしは「マンション」を入れたほうが分かりやすいと考えたが、固有名詞だから厳密でなければならないというのだ。

 はいわかりました。T弁護士の言う通りに、「アクシス91管理組合」に直せばいい。「弁護士先生」の指摘を踏まえ、「訴状を補正」すべきなのだろう。

 裁判をスムーズに進行させることが重要である。どのように訂正すればいいのか、親切な書記官に率直に相談することにした。

「管理組合理事長ではない」で、訴え却下?

 さらに「答弁書」を読んでいくと、「本件訴えにおける原告が、わたし個人ではなく、法人でない団体であるとした」場合、「本件訴えを却下する」とあった。何だ、これ?どういう意味か全く理解できない。

 しかし、その理由に、そもそも、わたしが、「アクシス91管理組合の理事長ではない」と書かれていた。つまり、原告としての当事者適格を否定しているのだ。

 「本案前の答弁」とあるから、わたしの請求した内容への否認、反論ではなく、そもそも、原告としての当事者適格がないということだけで、訴えを却下させようとしている。

 わたしが理事長でない理由に管理規約の規定、管理組合総会などの手続きの不備を挙げていた。どうやら、T弁護士は毎年度の総会で、理事長の選任をしていないから、わたしは理事長ではないのだという。わたしは1995年から管理組合理事長を務めている。7世帯しかないから管理会社へ委託すれば収支がマイナスになる可能性が高く、自主管理組合であり、理事長の仕事は毎月の会計管理、マンションの維持修繕、公共機関との交渉など多岐にわたる仕事を一人でやっている。当初から、なるべく長くやってほしいという要望に応えてきたから、毎年の選任を行っていない。別の誰かがやってもらえるのならば、喜んで理事長を引き受けてもらうつもりだった。

 何よりも、もともと3階所有者(廣田育英会の起源となる廣田さん)の遺言執行者だったT弁護士は、わたしが長年、理事長を務めていることを承知していた。詳しくは、『「本人訴訟」入門①民事紛争の発端から』で紹介した。「本人訴訟」入門①民事紛争の発端から? | 静岡経済新聞 (shizuokakeizaishimbun.com)

 2番目として、わたしが2月15日に送信した「管理組合総会告知」メールに訴訟案件が議案になっていないから、「決議自体が無効」とあった。この時点では、3階Kは滞納金を支払ってくるものとばかり思っていた。ところが、2月16日のメールで、Kは廣田育英会から「法的に存在していないから支払わない」と伝えてきた。その後、何度もKに支払うよう求めた。

 3月2日のメールで、Kは「訴訟という手荒な選択をしたくなく、まずは公平な立場である裁判所に意見を伺うために調停申し立てをした」「問題解決のために時間をいただきたいので理解してほしい」などと書いてきた。当然、K(譲受者)は廣田育英会(譲渡者)を相手取って、調停を行ったものとばかり思ってしまった。

 それでも3月2日のメールで、「7日の入居までに滞納金を支払われない場合、訴訟を早急に起こす」と記し、電話で総会の議題とすることもKに伝えている。当然、全組合員にも徹底している。T弁護士が被告のKにちゃんと事情を聞いていないことが明らかだ。3月14日の総会の席で、初めてKからわたしを原告とする調停申立を行ったと聞かされ、Kを被告とする訴訟を議題として取り上げた。Kに反対意見もなく、全会一致で議決した。本当に、T弁護士はKと十分に話し合っているのか、疑問が多い。

 最後に、民事訴訟法15条で「法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権は、書面で証明しなければならない」と定めているのに、「添付書類」に代表権、授権を証明する必要書類がないから、わたしは「組合のための代表者乃至管理者でもなく、原告となる権限を授権されてもいない」と追及していた。

 そして、「答弁書」には「原告の請求を棄却する」「訴訟費用は原告の負担とする」とあり、「主張の整理及び訴状の補正がなされた後に、被告は答弁する」と書いてあった。

 こうなると、静岡地裁に求められた「資格証明書」を提出したことは非常に大きな意味があった。被告の3階を除く、管理組合員全員の自署、押印のある「資格証明書」を作成したから、「原告となる権限を授権されている」必要書類のはずだ。T弁護士はその事実を知らなかったようだ。静岡地裁から「事務連絡」をもらった際、「資格証明書」提出がT弁護士の要請と勘違いしていたが、T弁護士の答弁書で事実関係がはっきりとした。

 静岡地裁判事に感謝しなければならない。

「答弁書」に反論する「準備書面」提出

 「わたしが管理組合理事長でない」。本当に、そんなことを裁判で争うのか?そもそも被告Kの主張とは全く違う。

 廣田育英会(T弁護士は常務理事)とは「3階キャバクラ寮の契約」解除を管理組合が求めたことでいろいろな文書のやり取りがあり、T弁護士からもさまざまなイチャモンをつけられた。しかし、これまで、「わたしが理事長ではない」と言ってきたことは一度もなかった。

 被告だが、管理組合員でもあるKはこの「答弁書」を承知しているのか?

 わたしは、7月7日、「理事長ではない」に反論する「準備書面」を静岡地裁に提出した。

 『3月17日、被告から原告に届いた調停申立書には、廣田育英会から「住民活動協力金なる債務は存在していない」、「専門家の意見も取り入れた上で判断しているので、請求自体が無効で債務はない」などと聞かされた上で、気に入った物件であり、購入したなどとあった。

 当然、被告は購入までに、原告に対して滞納金の存在について確認する時間が十分、あった。今回の訴訟は被告が注意義務を怠ったことが大きな原因である。

 このような状況の中で、被告代理人(T弁護士、廣田育英会常務理事)から送付された答弁書には、被告が原告に送ってきた調停申立書とは全く別の主張をしている。

 被告は「アクシス91の新区分所有者として他の区分所有者と良い関係を築いていきたい。協力金の問題解決を早急にしなくては」と書いている。「管理組合理事長かどうか」を争うのであれば、裁判ではなく、管理組合員として総会開催を提案して、この疑問をはっきりとさせるべきであり、これまでの主張と違う。

 被告がこれから長くマンション管理組合という共同体の一員として生活していくことが予測される中で、管理組合内の立場や信用を失うことにつながる可能性が高い』(「準備書面」抜粋)

 T弁護士が勝手に「答弁書」をつくり、Kの承諾を得ていないのではという強い疑問を抱いた。 

 7月7日に「準備書面」を提出したあと、「わたしが理事長ではない」を議論するためにマンション管理組合臨時総会を24日に開催することを決めた。

 マンション管理組合の一員となったKが、わたしを管理組合理事長ではない、と考えているならば、当然、管理組合員全員の問題である。区分所有法はマンションの区分所有者全員が、管理組合員になると定めている。すべての所有者は管理組合員としての責務を果たさなければならない。「わたしが理事長であるのかどうか」の疑問があるならば、総会の席で発言してもらう。

 「準備書面」とともに、「訴状訂正の申立書」を提出した。住所は地番のみとして、わたしの部屋番号を除き、肩書を「アクシス91管理組合 同代表者理事長」と訂正した。

 第1回口頭弁論は7月21日午後1時10分、静岡地裁203号法廷で開かれることになった。 

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