リニア騒動の真相90大丈夫ですか?難波さん

難波副知事が塩坂氏に謝罪した?

 7月4日に発生した熱海土砂災害のあと、難波喬司副知事の会見が7日から連日のように始まった。会見時間が異様に長いのが特徴だ。7日(2時間半)、8日(30分)、9日(2時間20分)、13日(2時間20分)、14日(3時間半)、15日(1時間10分)で、2時間超の日が多く、これだけでも難波氏の頑張りが伝わる。

 ただ、内容は非常に分かりにくい。「不安の軽減と風評被害の軽減のために、確定又は確度の高い情報なのか、推定情報なのかを行政の責任において判断し、積極的に情報発信(行政の動きが分からないこと、多くの不確定情報が飛び交うことが不安を増大させる)」という基本を踏まえ、『崩壊のメカニズム』について、大胆な「仮定」に基づく「推定」あるいは「推論」を行っているからだ。前日と当日の会見内容が違っていたり、複雑な内容に記者の理解が追いついていない。記者の同じような質問に、難波氏は的確に答えず、言質を取られないよう曖昧な表現に終始する。だから、時間が掛かる。会見は県庁HPから外部サイトにリンクして、ユーチューブで見ることができる。

 13、14の両日の記者会見に参加した。9日の難波氏の発言内容を確認するためだった。『リニア騒動の真相89静岡新聞1面記事の”誤報” https://shizuokakeizaishimbun.com/2021/07/11/rinia89/』を伝えた。県のリニア会議地質構造・水資源専門部会の塩坂邦雄委員(株式会社サイエンス技師長)の発表内容が「誤り」である、という難波氏の指摘の通りであれば、塩坂発言は”お騒がせ”以外の何ものでもない。塩坂発言に疑いを持たず、そのまま掲載した新聞報道の在り方にも疑問を投げ掛けた。

 難波氏がいまでも9日と同じ考えなのか確認したかったのだ。

7月10日付毎日新聞。塩坂氏の主張をそのまま掲載した

 14日の会見で質問した。難波氏は「その(塩坂氏の)指摘が正しければ、(「盛り土」付近の崩落個所がある)裏山が落ちるかどうか警戒しなければならない。チェックしたが、裏山がごっそり落ちることはない。捜索活動への2次災害防止のための緊急対応が重要であり、原因解明はいまやるべきことではない。報道を見た人は不安になる。発信するのは(しっかりと)解明してからにしてください」などと述べ、9日の発言とほぼ、同じであることを確認した。

 塩坂氏の独自見解である人為的な開発による「河川争奪」は、難波氏らが現地調査を行った結果、そういう事実はなかったと断言した。つまり、逢初(あいぞめ)川の「流域(集水域)」拡大の事実は現時点ではありえないとのことだ。

 ところが、16日静岡新聞朝刊を読んで驚いた。『地質専門家の塩坂邦雄氏の主張を批判したことについては(難波氏は)「情報の重要性を適切に評価していなかった。塩坂氏の名誉を傷つけた」として謝罪した』とあった。15日の会見には参加していなかったため、”難波氏の謝罪”を全く知らなかった。

 その後、何か重大な事実でも見つかったのか?

地下水の動きを指摘したわけではない

 15日午後4時半から始まった約1時間10分の「難波会見」をユーチューブで確認した。会見開始後すぐに、難波氏は『7月4日、塩坂邦雄氏が独自調査で解析、現在の流域とされている上部にある標高の高い部分を考慮すべき、有力な情報を直接、もらった。記者会見で塩坂氏の有力な情報を評価せず、結果として、塩坂氏の名誉を傷つけた、ということを心からおわびする』と述べ、その上、記者たちとユーチューブのカメラを前に丁寧に頭を下げた。

 「地下水の動きは分からない。あとで重要な情報であるとわかった」と言う。『地下水の動き』が新しい事実のようだ。ただ、どうもそれだけでは意味がよく伝わらない。

 15日の会見では、建設コンサルタント会社の東日(本社・沼津市)など民間による無償の協力などに感謝のことばを述べるなど、ふだんの内容とは違っていた。その一環の中で、塩坂氏の調査にも感謝していると述べたかったのか。ただ、それだけではないようだ。

 まず、9日の会見を振り返ってみる。

逢初川の流域図(赤くひし形部分の約2万㎡)

 9日の会見では、難波氏は逢初川の流域図を示して、その中の赤く塗られ、ひし形の崩落した逢初川流域図の上部地域を示して、『この辺りの水が入っているという話が(4日、塩坂氏から)あった。「そうですか、それは大変ですね。その状況が確認できたら、私に教えてください」と申し上げた。それは我々はここの安全性に対して責任を持っているからだ。しかし、それを我々に説明することなく、県に説明することなく、ここに6倍の水が入っている話を(記者会見)するなんて非常に不適切だ。それははっきりと申し上げておきたい』などと”激怒”していた。

 ところが、15日の会見では、この会話部分に「重要な情報があった」としているのだ。

 新聞報道によると、塩坂氏の指摘は、逢初川北側の鳴沢川に流れ込むはずの雨水が「河川争奪」によって、逢初川に流れ込んだ。つまり、逢初川の流域が4万㎡から25万㎡に拡大したと説明した。だから、難波氏は「はっきりと申し上げて、”誤り”」と断言した。ここに地下水の話はどこにも出てこない。

 そもそも、「河川争奪」をしたとされる鳴沢川の流域が21万㎡かどうか、全く分からないのだ。2級河川の逢初川は県管理だから、流域図を作っているが、普通河川の鳴沢川は熱海市管理であり、県担当課に問い合わせたが、「流域図はない」との回答だった。つまり、流域図さえ定かでない鳴沢川に関する調査であり、「河川争奪」がないことを確認したならば、原因解明はあとからやればいい、と難波氏は主張、塩坂氏の発表を批判したのではなかったのか?

 何かおかしい。

難波氏の謝罪は儀礼的なもの?

 15日の難波会見をすべて確認した。「塩坂氏の指摘は表流水が鳴沢川へ行っているか、逢初川へ行っているかという指摘だった。それは、ここの現象だけをとらえれば、そんなことはない。表流水だけを見れば、熱海土木事務所が行って確認した。ところが、よく考えてみると、地下水がどうなっているのか分からないので、ひよっとすると、微妙な、(崩落部分より)上部地域の地下水がここに入ってきている可能性はある。

 塩坂氏はここに(上部地域)注目したほうがいいですよ、という情報提供だと理解すれば、私がそこをよく分かっていなかった。そこはしっかり訂正して、おわびを申し上げたい」

 塩坂氏の指摘は間違っているが、塩坂氏が指し示した場所は注目するのに値するという。何とも不思議な説明である。

 塩坂氏は造成で尾根を平らにしたことで、「河川争奪」が起きたと説明していた。難波氏は「(造成などの)開発行為は関係ない。風評被害の恐れがあるのでしっかりと対応しなければならない」とも答え、塩坂氏の”人災”の指摘に、風評被害を招くから「不適切」と批判もしている。

 「(9日に)不適切だとあれだけ言っておいて、いまさら、お詫びですか」という記者の鋭い質問に、難波氏は「誤った対応があるのでお詫びしたが、ただ」と始まった。「塩坂氏のことを言うと、また、名誉を傷つけることになるので、いい加減にしないといけないが、昨日まで私が問題にしていたのはプレス発表をしたことだ。最初の鳴沢川の水が逢初川に入っているという(「河川争奪」の)情報を確認したが、正しくはなかった。(それをそのままプレス発表したことで)鳴沢川流域の人たちに不安をもたらし、宅地造成していた人たちの責任を問題にした。不確定の段階で情報を出すと風評被害をつくる可能性がある」と、やはり、塩坂氏のプレス発表を批判したのだ。

 そのあと、難波氏は「塩坂氏はここ(上流部)を見ないとダメだという情報だった。その情報の大事さを見過ごしていた」と謝罪の意味をあらためて説明した。これは単なるこじつけであり、記者たちに不思議な印象だけを残した。

 塩坂氏は地下水の専門家ではない。塩坂氏が「ここを見なくてはダメだ」と言ったのも、難波氏が否定した「河川争奪」の指摘をしたかったからではないか。

 だから、「不適切」だとする難波氏の主張はいまも変わらない。そうなると、難波氏の謝罪は本心からではなく、記者会見で塩坂氏を批判したことに対する儀礼的なものに過ぎない。なぜ、そんなことをしなければならなかったのか?

一体、なぜ、難波氏は不思議な謝罪をしたのか?

 難波氏は、地下水が影響していると言いながら、いまのところ、その量などは全く分からない、と答えていた。

 9日の会見で、難波氏は、今回の崩壊の原因のひとつに、「長雨蓄積型」の降雨を挙げていた。2019年の台風は、約300ミリの降雨があり、狩野川の決壊をもたらしたが、熱海の「盛り土」付近は崩壊しなかった。7月1日から3日までの降雨は総雨量約500ミリに達して、崩壊を招いた。当然、どちらの場合にも逢初川の流域には、上部から地下水が流入していただろう。となると、地下水の影響が今回の崩壊を招いた直接の原因ではないことになり、大きな要因と言えないかもしれない。

 当然、地下水の専門家でもない塩坂氏は「流域」上部を指し示して、その辺りの地下水が崩落を起こした「盛り土」付近に流入していると話したわけではない。難波氏によれば、単に「ここを見ないとダメ」と言っただけである。

 考えれば分かるが、いくら地山が堅固だとしても、土石流の起点となったのは岩戸山(標高734m)の中腹、標高約400m付近の斜面(「盛り土」付近)に、地下水の流れが全くないと考えるほうが理解に苦しむ。地下水については、原因解明の段階に入ってから、ボーリング、水脈、測量などの調査を行うと決めていたのだろう。地下水量がどのくらいか山肌を見て大雑把には理解していて、2次災害に備えていたはずだ。いくら何でも、塩坂氏に言われるまで、専門家の難波氏が地下水を問題外にしていたとは信じられない。

 さて、そうなると、なぜ、難波氏は不思議な謝罪をしたのか?

 「情報を出すのは個人の勝手だ」(難波氏)と言いながら、塩坂氏が県に何の報告もなく、プレス発表したことに難波氏は激怒してしまった。

 週刊誌情報では、熱海の土砂災害では、産廃の混じった不適切な「盛り土」を行った前地権者は同和関係者であり、10年前にその土地を購入した人物は島田市の住職のいない寺院代表責任者となり、熱海市に別院をつくっているという。すべて県の手続きが関係する。

 塩坂氏がどのような人物かは知らないが、内容の誤った不適切なプレス発表を批判した副知事に、頭を下げさせるほどの謝罪を求める何らかの”強い力”を持つようだ。大丈夫ですか?難波さん

※タイトル写真は、14日に会見した難波副知事

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