「本人訴訟」入門⑦「調書」に異議申立?

わたしの発言を切り取ったT弁護士の曲解

 8月6日、「わたしが管理組合理事長ではない」とする被告代理人T弁護士の答弁書に対する再反論、第1回口頭弁論(7月21日)で裁判官から求められた「理事長に就任した当時の議事録」を管理会社アイワマネジメント(静岡市)に問い合わせた結果を記載した「準備書面」を静岡地裁に提出した。その際、書記官に口頭弁論の議事録はあるのか尋ねた。

 「被告代理人の答弁書は被告(K)の本来の主張と違うでのはないか」とわたしが質問したのに対してに、T弁護士が「うるさい、黙れ」と法廷で怒鳴った発言を正確に知りたかったのだ。(わたしはメモ書きをしていたが、ICレコーダー使用は禁止されている)

 書記官は「調書」ができていると教えてくれた。調書とは、民事訴訟法160条(裁判所書記官は、口頭弁論について、期日ごと調書を作成しなければならない)に基づいた裁判の記録である。調書は非常に簡潔に要点のみが記され、T弁護士が怒鳴ったことなどは一切、記されていなかった。

 原告に対して、「令和3年8月31日までに、原告代表者が理事長に初めて選任された際の議事録を確認の上提出する」、被告に対して、「令和3年8月31日までに、上記総会決議(2019年3月の管理組合総会で3階所有者に対して非居住者の住民協力金を支払いの管理規約改訂の決議)の有効性、同総会決議が有効である場合の支払い義務の有無について準備書面を提出する」と調書に記されていた。

 調書によると、被告の「わたしが理事長ではないから、訴えを却下すべき」主張は認められず、Kが滞納金不払いの理由とした「滞納金は法的に存在しない」根拠をT弁護士は主張しなければならない。

 ところが、T弁護士は8月6日付(裁判所到着は7日)で、『口頭弁論期日調書の記載に対する異議申立書』(タイトル写真)を送ってきたのだ。裁判所の「調書」への異議申立は、民事訴訟法160条2項(調書の記載について当事者その他の関係人が異議を述べたときは、調書にその旨を記載しなければならない)に基づいている。

 異議申立書は『原告は、従前、規約に基づき、訴状に対する代表者理事長と記載された「✖✖✖✖(わたしの氏名)」を選任する決議をしたことはなく、議事録もない』という原告の陳述が記載されていないので、これを調書に補充するよう求めている。

 マンション管理組合は法人ではないが、民事訴訟法29条(法人でない社団又は、財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる)で、裁判を起こすことができるとしている。ただ、その訴えに必要な「代表者又は管理人」である当事者適格がないことを、わたし自身が裁判で認めているので、その旨を「調書」に記載すべきだとT弁護士は主張している。わたしが、第1回口頭弁論で自ら当事者適格がないと発言している経過や、異議申立の理由を民事訴訟法や最高裁判例などを駆使して、長々と書いている。もし、それが事実ならば、訴えを却下する要件となるのかもしれない。

 異議申立書によると、裁判官はわたしに対して、「規約に基づき理事長に選任されたという決議がなされているか、議事録があるか」との質問に、わたしが「理事長に選任する決議をしたことはなく、議事録もない」と陳述した、となっている。ただ、これはわたしの発言の一部を切り取って、都合よく使っているだけである。全く正確ではなく、こちらからすれば”虚偽”に当たる。

 「当初(1995年3月)から私を理事長に選任する決議をしたことはなく、議事録もない」を、わたしが認めているはずもない。当然、そんな発言はしていない。1995年3月、わたしが理事長に選任された決議について、わたしの手元には当時の議事録はない、と述べたに過ぎない。その後、毎年の理事長を選任する決議は省略され、その後、ずっとわたしは理事長に就いている、とも述べた。

 わたしの発言の一部を切り取れば、T弁護士の書いた通りになる。異議申立書だけを見れば、当初から、わたしを理事長に選任した決議がないから、わたしの理事長としての当事者適格がないとなる。T弁護士の曲解なのか、”虚偽”なのか分からないが、法律、判例を都合よく使うために、わたしの発言の一部を切り取ってしまった。ただ、これでは、わたしは自分勝手に理事長に就いたのか、あるいは、誰かがわたしを無理やりに理事長に就かせたかのいずれかになってしまう。(いくら何でも、そんなことはありえない。被告はこれを証明しなくてもいいのか?)

 当事者適格は、裁判所が職権によって調査することになっている。裁判官は、T弁護士が「答弁書」で主張した「わたしは理事長ではない」を採用せず、わたしの当事者適格を認めている。これに、T弁護士は不満だった。それで、わたしの発言を都合よく切り取ることで、調書の異議申立書を作成したのである。

 T弁護士の異議申立には、どのような狙いがあるのか?

準備書面で”再反論”を提出済みだった

 わたしは、T弁護士による異議申立書の日付と奇しくも同じ8月6日に、『被告の答弁書中、「✖✖✖✖(わたしの氏名)は、アクシス91管理組合理事長ではない」に対する再反論』という標題の準備書面を提出した。わたしの準備書面が、T弁護士による異議申立書の曲解をこなごなに粉砕する威力が十分、あったのかどうか検証してみる。わたしの準備書面は、8月10日にはT弁護士の手元に届いている筈である。

 T弁護士が「わたしは理事長ではない」と主張してきたことは、ある意味、都合のいいことだった。莫大な財産を残した3階所有者の廣田さんの遺言執行者であり、現在、廣田育英会常務理事となったT弁護士が、息子の理事Hを事務局責任者にすえて思うがままに運営をしていることにわたしは疑問を抱いている。廣田育英会のS理事長に、今回の3階キャバクラ寮の契約解除について電話で問い合わせたところ、Sは「すべてHに任せている」と発言している。廣田育英会の”真実”が少しでも社会に出れば、廣田育英会の運営に疑問を抱く人が増えてくるだろう。

 わたしが理事長に選任された1995年3月当時、3階は、故廣田さんの遺言執行者T弁護士が管理、廣田さんの介護人だったIが居住していた。わたしを理事長とする選任決議がなされたあと、Iを含めた組合員から、わたしの都合のつく限り、なるべく長く理事長を続けてほしいとの強い要望が出された。このため、毎年の総会で理事長の選任手続きを省くことになった。今後、わたしの代わりに理事長職を引き受ける者がいれば、遠慮なく言ってほしい旨も話したが、そんな奇特な人は、当分、誰もいないことも承知していた。

 7世帯のみの管理費等で管理会社に委託すれば、収支がマイナスとなる可能性が高く、自主管理に変更したため、理事長職は、毎月の会計管理、マンション全体の維持、修繕、公共機関との交渉など煩雑な日常的な仕事を引き受ける役割であり、他の組合員が面倒な理事長職を引き受けられる状況ではなかった。総会に出席したIは、T弁護士の委任を受けていたから、1995年3月の総会でわたしが理事長に選任されたことは、T弁護士は当然、承知していなければならない。

 翌年1996年12月27日に行われた管理組合臨時総会でT弁護士からIを代理人とする委任状がわたしに提出された。わたしは1996年3月の総会で選任手続きを経ていないが、被告代理人のT弁護士はわたしを理事長として認めていたことになる。(証拠として、1996年12月に提出されたT弁護士の委任状写しを添付した)

 2003年、突然、居住者のIが3階を退去させられた前後から、3階管理費等の滞納が続いたため、わたしはT弁護士の東京・新橋にある弁護士事務所に電話で滞納金の支払いを督促、理事長の立場でT弁護士と話をしている。(証拠として、T弁護士への督促を書いた2003年管理組合総会の報告書写しを添付した)

 その後、T弁護士に依頼された不動産会社が3階の入居者を募集、2005年4月、T弁護士名の「第三者使用に関する届け出事項」がわたしに届けられた。(証拠として、この届け出事項の写しを添付した)

 ここまでは、T弁護士が亡くなった廣田さんの遺言執行者の時代であり、わたしを理事長に認識していた事実を証拠とともに述べた。廣田育英会常務理事となってから、T弁護士が、管理組合理事長のわたし宛に送ってきた郵便物をすべて保管している。

T弁護士はわたしを理事長として認めていた

 「3階キャバクラ寮の契約解除」を管理組合が廣田育英会に何度も求めたことに対して、T弁護士は2018年12月、2019年2月にそれぞれ、速達、書留で2通の郵便物を送ってきた。まず、封筒、文書の宛先には、わたしの氏名の前に、「アクシス91管理組合理事長」の肩書をつけてある。つまり、T弁護士はわたしが理事長であることを前提に、さまざまな批判、中傷を行ってきている。

 2018年12月の文書は、わたしが理事長Sの自宅に「3階キャバクラ寮の契約解除」を求めたことについて、不適切な行為だと批判している。さらに、2006年8月に「(亡くなった廣田さんから廣田育英会への)所有者変更届」をわたし宛に送ったとし、その変更届が手元にないのは「理事長として重要書類の管理能力に疑問がある」などと書いてきた。

 わたしには、「所有者変更届」を受け取った記憶はないが、2006年8月から2018年12月まで、T弁護士がわたしを管理組合理事長として認識していたことは疑いのない事実となってしまう。

 2019年2月の文書では、3階キャバクラ寮の入居者がマンション内の駐車場に3カ月余、無断で不法駐車していた問題を取り上げ、わたしが許可したという3階キャバクラ寮の入居者の一方的な主張のみを利用して、「居住者が嘘をつく理由は見当たらない」「当財団が嘘を都合よく使ったなどという事実などあり得ない」などと述べ、わたしの一連の対応について、「当財団としてはマンション管理者及び理事長としての貴殿の資質を問う方針」と記している。つまり、T弁護士はわたしを理事長として認めていた。(証拠として、T弁護士からの2通の文書写しを添付した)

 1996年から2020年まで管理組合総会では、理事長の選任手続きを行っていないが、T弁護士の委任を受けた3階出席者から、理事長選任手続きに何らかの疑問等は一切、出されていない。T弁護士の息子で、事務局責任者とされるHは、管理組合総会に出席しているが、理事長の選任手続きに一度も疑義を述べたことはない。

 これらの事実を基に、今回の訴訟で、T弁護士がわたしを理事長ではないと主張するのは、あまりのご都合主義であり、弁護士法第1条「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」に反している、と「準備書面」の結論に記した。

 「準備書面」を作成したときには、「毎年の総会で理事長の選任手続きを省いた」ことが問題であり、理事長としての当事者適格に欠けるとT弁護士が主張している、と考えていた。ところが、異議申立書を読むと、T弁護士は、第1回口頭弁論のわたしの発言の一部を切り取り、そもそも初めからわたしが総会決議なしで理事長に就いていた、と曲解している。

T弁護士の狙いは東京高裁への控訴か?

 わたしの「準備書面」によって、T弁護士の異議申立書の曲解をこなごなに粉砕することができたのかどうか? 

 まず、1995年当時の議事録は存在していない。

 当時、アイワマネジメントが管理会社だったが、ずさんな管理であり、わたしが選任された議事録等を作成していない。だから、1995年3月、わたしの理事長選任決議がなされたこともちゃんと「準備書面」に記載するべきだった。また、遺言執行者のT弁護士が区分所有者として居住者Iに委任していたから、わたしが理事長に選任されたことを承知していたはずだ、と主張すべきだった。

 最も重要なのは、T弁護士の「異議申立書」の狙いが、どこにあるのかである。

 私見だが、T弁護士は静岡地裁で敗訴となったことに備え、東京高裁へ控訴することを考えているのではないか。わたしの陳述に問題があることを強調することで、高裁裁判官がT弁護士の異議申立書にある主張を事実だと信用してしまう恐れは十分にある。

 そうならないようにするためには、今回のT弁護士の主張を踏まえて、8月6日提出した「準備書面」を補正する必要がある。経験の乏しい「本人訴訟」では、被告代理人弁護士がどのような狙いでこちらを攻撃してくるのか、全く予測がつかない。その上、民事訴訟法、判例を駆使されれば、思わぬダメージをこうむる。

 ただ、今回は、T弁護士が異議申立書を送ってきたのと同じ日に、T弁護士を”攻撃”する「準備書面」を提出したことが、裁判官の心証をつくるのに強力な材料を与えたはずだ。

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